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【推しの子】のcamusonのレビュー・感想・評価

【推しの子】(2023年製作のアニメ)
4.7
原作漫画未読です。

想像していたのとまったく違う作品でした。

アイドルヲタ等の超限定層向けの、
アイドルユニットを主人公とした
アイドルの成長・育成物語か何かだと思っていたのですが・・・

<以降、作品の表面的な印象を裏切るという意味での「ネタバレ」に該当しますので、
 それを含めて楽しみたい方は、作品を先にご視聴ください。>

ストーカーに殺害されたアイドルの隠し子の双子(兄妹)が主人公で、
兄による正体不明の父親(芸能関係者)の捜索・復讐?劇、
妹による憧れの母をめざしたアイドル奮闘記、
これらを巧みに絡めて、
芸能界の裏側と、そこに渦巻く人間模様を見せていくという大作ドラマでした。


前世の記憶を持ったままの輪廻転生という超常現象を持ち込んだことで、
キャラクターの深みとともに、主人公の能力の高さや、行動の動機が、
無理なくスピーディーに得られていて、上手くやったものだなと。

芸能界の裏側事情、芸能を取り巻く社会問題など、
興味深いトピックが混ぜ込まれていて、
多彩なキャラクターがそれぞれ、
特徴と役割をもって無駄なく流れるように機能していて、
飽きることがまったくなく、穴が見当たりませんでしたね。感服です。


オープニングテーマは、
作品を見る前から話題になっていて、動画のBGMとしてよく耳にしていましたが、
なんとなく聞き覚えがあるようなボーカロイド良曲の詰め合わせという感じで、
器用によくできているけれど、あまり新しさは感じないし、
アイドルユニット向けど真ん中でもないし、
評価されているのが、あまりピンとこなかったんですよね。
作品を見た後となっては、この複雑な作品のオープニングとして、
合っているなと思いました。

エンディングテーマは、
各話の終盤シーンに重なるようにイントロが挿入され、
各話のタイトルが大写しになる演出が印象的です。
このフォーマットは「写真で一言」的なギャグの型として何にでも応用がきくために、
MAD動画で乱用され過ぎているようですね。
イントロこそキャッチ―ですが、狂気、優しさを含み大きく変化する曲調が、
アニメーションと符合していて素晴らしいと思いました。
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