彼女が公爵邸に行った理由のカニ組長のネタバレレビュー・内容・結末

　どうしてこの手の乙女ゲーム系や何とか令嬢系の転生主人公って思い込みが激しかったり、元の設定に引っ張られがちなんだろう。
　この作品の主人公だって、自分が物語中に殺されてしまうキャラクターであることを思い出し、前世の記憶を駆使し、弱みを握った公爵様(元の小説ではその小説の主人公と婚約するキャラ)の婚約者になるところまではいいが、いざ自分の身の危険が無くなるとすぐ、『もうすぐ私の親友(小説の主人公)が戻ってきて、公爵様と婚約するから、私はその手伝いをしなければ。』モードに入ってしまう。
　しかも、本来は自分が死んだことで小説の主人公は戻ってくるため、自分が生きている今、主人公は戻って来ないと察していながらだ。死の運命を無理矢理変えた一方で、小説の主人公が現れないことに素直に驚いている様子はかなり滑稽だった。
　正直、公爵様の好意に気付いていて、アプローチにもまんざらでも無い様子なのに、小説の主人公と公爵様の婚約は頑なに信じる主人公の心情がよく分からず、後半は集中して見ることが出来なかった。
　主人公が拐われて、殺されかけ、公爵様に助けられる所までがこの作品のピーク。