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シャングリラ・フロンティアのちゃぶ台のレビュー・感想・評価

シャングリラ・フロンティア(2023年製作のアニメ)
3.0
同様の世界観の作品はデスゲーム系が多いなか、リスポーンや蘇生アイテム前提の現実のゲーム寄りな攻略スタイルは新鮮だった。
ただそれ故に緊迫感や没入感には欠けた印象。

特に顕著だったのが一番の見せ場であろう「墓守のウェザエモン」戦。
もう一つ盛り上がりに欠けたと感じる。
多様な攻撃にさらされるが、プレーヤースキルで回避するだけでヴァッシュに課された実践訓練に絡めるなどもなく、なんとか逃げ切りバフを盛ったスキルを打ち込んで終わり。
麒麟もサンラクに横槍を入れるわけでも合体を断行し絶体絶命に追い込むわけでもなく、ウェザエモンとサンラクを一騎討ちさせる口実として登場しただけで存在理由がよくわからなかった。
全体攻撃であるはずのウェザエモンの雷鐘も麒麟との交戦を初めて以降カッツォ等に影響している様子もない。
リアルのゲームではそんなものかもしれないが、創作に求めているものはそうじゃない。
パーティーメンバーに関しても、カッツォはサンラクに近い好戦的な気質を持っている印象だが対ウェザエモンの役を大人しくサンラクに譲っていたり、そもそもペンシルゴンがセツナに肩入れしていた理由もよく伝わらなかった。

さらに言えば、レベルやステータスの恩恵が何も伝わらないのはステータス振り分けを採用しているゲームを扱う作品として致命的だと感じる。
プレーヤースキルで無双するのは結構なのだが、ロボット作品ではよくあるパイロットの反応速度に機体が着いてこれないといったこともなく、プレーヤーの反応速度だよりで回避行動を取れるのであれば「敏捷」にステータスを振る意味がどれだけあるのだろうか。
この点に関しては当作品に限らず同系統の世界観の他作品にも言えることではあるのだが、没入できなかった分そういった些事が気になった。

またアニメとしては、シャンフロ劇場や導入、前回のあらすじの時間を合計するとなかなかに本編が圧迫されており尺稼ぎにすら見えるのはせっかくの2クールなのにもったいなく感じた。
作画もここぞの場面に力を入れているのはわかるが、それもほぼ止め絵で戦闘描写に力が入ってるとまでは思わなかった。

総じて「こんなゲームがあったら楽しいだろうな」の域を出なかい作品だったと感じる。
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