滝和也

GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり 第1クールの滝和也のレビュー・感想・評価

5.0
怪獣にやられる奴
他国の攻撃であっと
言う間に物資不足…
そんなイメージの
我が国を守る自衛隊…

だが…本当の姿とは!
リアルとファンタジー
の見事な融合!

「GATE 自衛隊彼の地で、斯く戦えり1」

自衛隊出身者による自衛隊が主人公となるSFファンタジーアクション。突然銀座に開いたGATEにより異世界と繋がった世界をリアリティをもって描き出した傑作。嘗て角川映画が千葉真一主演で描いたタイムスリップアクションの傑作、戦国自衛隊の発想が近いが、より政治的、.ミリタリー的にリアルな作風で政治劇としてはシン・ゴジラに近い。

陸上自衛隊伊丹三尉はその日、コミコンへ向かう途中、銀座で大事件に遭遇した。突然空間に現れたGATEから吹き出す謎の軍隊がそこにいた人々に襲いかかったのだ…。獣人、エルフ、ローマの剣闘士や騎士、そして翼竜にのった騎士とまるでファンタジーの世界から来たようだった。伊丹は咄嗟に剣から人々を救い、警察官に指示を出し、避難させ多くの人を救った。敵を壊滅させ、敗走させた日本は自衛隊をGATEの向こうの特地へ派兵することを決定。陸上自衛隊特別チームの中には英雄となった伊丹の姿もあった…。

アニメとして主人公がオタ隊員であったり、異世界が西洋ファンタジー(ドラクエ風)かつヒロインがエルフや魔道士であり、視聴メイン層を意識した作りと息抜き的なユルさが絶妙なバランスも持ち味となっている。

ただ…戦闘描写はハードかつリアル。要は古代ローマ帝国レベルの敵に完全武装の自衛隊が相対するわけで凄まじいことになる…。しかもその戦術描写は自衛隊出身者が描いた故に超リアル。けっして先制攻撃はしない専守防衛スタイルなのだが…戦国自衛隊の比ではない強力さをもって叩きつける…。そもそも自衛隊戦力は世界の5指に入り、その練度・技術力は世界一とも言われている。その実力をリアルに描いているだけなのだ。ただ…アニメならではの地獄の黙示録オマージュであるワルキューレの騎行をかけながら攻撃するヘリ大隊というお遊びもある。

更に…世界一、レスキューや復興作業に長け、戦略地域への支援派兵でも歓迎され、感謝される軍隊は間違いなく自衛隊であることも事実。それを遺憾なく異世界でも伊丹隊長のチームは見せつける。ドラゴンにより被災した村人を助け、奮闘。110m個人携帯対戦車弾にて片腕をぶっ飛ばすシーンは正に見事。またその後特地に出来上がる避難用住宅や風呂は正に自衛隊が被災地に展開した作戦どおりだった。

中盤、日本が舞台となり、政治劇的には野党が自衛隊を叩くことに性を出すシーンがリアルに描かれている。その浮世離れしたお花畑なバカさ加減は現実の野党そのものでくだらなく、リアル。嘗て自衛隊をいらないといった野党の流れをくむ方々が描かれている。世界でこれだけ評価されている自国の軍隊を蔑むのは日本ぐらいであり、これに対する作者のフラストレーションが描かれているのも興味深かった。

一期に置いては、日本が防衛の為の特地進出、調査から和平の為の調査の中、異世界に日本人の文化、姿勢、真心が自衛隊を通して発揮される所が描かれている。それにそんな軍隊や人々国はあり得ないと驚く異世界人のギャップが面白さや清々しさとして描かれている。それは被災地に来た各国の軍隊がその礼儀正しさ、規律に驚いた姿であり、旅行にきた人々が感じた驚きに近い。また海外派遣された自衛隊への感謝や被災地で活躍した自衛隊の感動の姿でもある。

見事なまでにファンタジーと一体化して自衛隊及び日本人の良さを描いた作品。面白すぎて思わず一気見してしまいました。オススメです。
滝和也

滝和也