ジェイコブ

僕の心のヤバイやつ 第2期のジェイコブのネタバレレビュー・内容・結末

僕の心のヤバイやつ 第2期(2024年製作のアニメ)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

「僕は頭がおかしい」。厨二病をこじらせた中学二年の市川京太郎には殺したい人間がいる。容姿端麗なクラスのヒロイン山田杏奈だ。市川はその鬱屈とした性格からクラスにも馴染めず、図書室を安寧の地としていた。ある日の昼休み、いつものように図書室を訪れた市川は、そこでお菓子やおにぎりを頬張る山田の姿を目の当たりにする。初めは自分の安住の地を汚された事に憤る市川だったが、見た目とは裏腹に天真爛漫に振る舞う山田と関わるようになると、次第に彼女に対する自分の本当の気持ちに気付いていく……。
ドラえもんなどで知られるシンエイ動画制作のアニメ。アオハルのラブコメだったらとらドラ!が自分の中で最高峰だったのだけど、令和になってそれに匹敵する作品に出会えると思ってなかった。キャラクターの可愛さ、小ネタ、微笑ましい気持ちになる世界観など、本作の良さをあげたらキリがないが、特に脚本と構成が良かったと感じた。中でもお菓子が重要なキーとなっており、お菓子に始まり、お菓子に終わる物語だったと思う。市川と山田が関わるきっかけであったお菓子が、ラストでは市川が大好きな作品のオーディションに向かう山田を励ますアイテムとなり、市川が山田から告白を受けるのが1話で山田がお菓子を頬張っていた図書室だった。
内向的で変わり者でありたいと願うどこにでもいる中学生の市川に、外向的だがどこかズレていて繊細な山田と、正反対なようでいてそっくりな二人。お互い想い合っているにも関わらず中々進まない関係に、いやもう付き合えよマジでと思いながら見ていた視聴者も多いだろう。
思春期における性の話題や身体の変化などを茶化したり誤魔化していない点も非常に良い。特に主人公の声変わりなどはアニメとして取り上げるには難しい部分もあると思うが、きちんと描かれていたのが新鮮だった。
冬アニメは圧倒的に葬送のフリーレンだと思っていたが、こちらも負けず劣らずの面白さ。シンエイ動画といえば「窓際のトットちゃん」で感動したのが記憶に新しいが、最近は特にアニメーションの技巧や、構成の良さが光っている(今やってるドラえもんの映画もヒットしているようで) 本作は特にその点を感じさせてくれた。
二期のラストで高校受験を意識したシーンがあることからも、3期は中学受験に失敗し挫折した市川が、自身の抱える心の弱さに向き合っていく話が中心となるだろう。いずれにせよ、楽しみに待ちたい作品が増えた。