スカポンタンバイク

アイドルマスター シンデレラガールズ U149のスカポンタンバイクのレビュー・感想・評価

4.3
何から言わんやという感じですが。
各回に関しては、回ごとに書いてるので、総括みたいな事を書く事にしようかと思います。

シンデレラガールズのファンとしては、「こういうのが観たかったんだよぉ」というのをいくつも見せてもらえたので大満足でした。
もうキャラクターが喋って動くだけでニッコニコですよ。みんな、良い子。

ここではFilmarksの(偏見に基づく)客層イメージに対してのレビューとして書こうかと思います。
今作は小学生アイドルを扱ったアニメではありますが、小学生アイドルのリアリズムを追求した作品ではありません。「推しの子」が同時期にやっていたりするので、業界の裏事情とか阿漕な商売事情とかの現代アイドルのリアリズムを少なからず求めてる人もいるかもしれないなぁと。と言いつつも、子供がアイドルになる大変さみたいな所を下地には置いてる作品なので、そこの希薄さに言及したくなる人たちの気持ちも分からなくはないです。私自身、実際にキッズアイドルで調べると出てくる握手会や抱っこ会の劣悪さには頭が痛くなりますし、そんな杜撰な状況がまかり通っている事には常に猛省を促し続けるべきだと考えています。
話を戻して、これはアイマスのアニメほとんどに言える事ではあるのですが、リアリズムな部分とおとぎ話の勢いで持っていく部分が混ざった作劇になっており、そこのバランス感にノレないって人は少なからずいるんじゃないかなぁとは思い続けてますね。
ただ、今作はシンデレラガールズのシリーズであり、その世界観の基本は「おとぎ話」になります。リアリズムはどちらかというと、そのおとぎ話に重さを持たせるための仕掛けとしての側面が強いため、その部分はアクセントとして受け入れるくらいにしておくと引っかかりが少なく観れるかと思います。それに、実際はこういうポジティブワールドであってほしいという、キラキラしたアイドル世界を表現するというのも、それはそれでアリかなぁというのが私の立場です。一方で、「ラストナイトインソーホー」的な業界の闇を描いた作品も生まれてくれれば良いんじゃないかなぁと思います。

さて、ここで肝心のU149について。
オタクとして「ここがもうさぁ、良いのよぉ」って話が無限にできる作品ではあるんですが。w
今作はU149がアイドルデビューするまでの話として綺麗にまとまった作品に仕上がっていると思います。というよりは、最終回をデビューにする事で、キャラクターそれぞれにフィーチャーした回を設けることができたんだなぁと、この構成の選択は上手くいってるなぁと思いました。子供であるが故の葛藤、新人プロデューサーとしての立場の葛藤がそれぞれ丁寧に描かれており、最初から最後までアイドルとプロデューサーが二人三脚を貫いているのが本当に相変わらず素晴らしいなぁと思いました。
あと、この構成にしたからこその最大の美点だと思っているのですが、「どこから観てもらっても大丈夫」です。勿論、1話からすくすくと成長していく流れというのはあるのですが、毎話毎話がメインキャラクター回として完結しているので、1話観るだけでも成立します。

個人的オススメ回は、
第6話の晴回、第8話の千枝回、第9話の薫回です。この3話のどれかから観始めるというのもかなり粋なんじゃないかなぁと思います。で、面白かったら全部観るという感じで。

穏便に観てほしい回は、
第7話の小春回ですね。w
私も言いたい事はあるんですが、歌のシーンで泣かされたんで「良し」としました。(甘すぎないか、我...)

とにかく全体としては、アニメーションとしての多幸感に溢れてて、それを観てるだけでも泣けてくる作品です。人生のベストとかまで言う気はないですが、凄い「あぁ、良いもの見たなぁ」と思える作品になってて良かったです。あと、アイマスのアニメでは一番見返すストレスが少ない作品ですね。何度もリピートとして何度も楽しいです。是非、騙されたと思って観てください。

※おまけの苦言コーナー
今作で特に気になる大人描写には言及しておきたいですね。第1話のタバコのシーンから、明らかにこのアニメで演出が別アニメと化す瞬間なわけですが、個人的に部長がただの面倒で嫌な上司って描き方にはモヤっとするものがありました。そういうやり方が無しと言い切るつもりはないのですが、アイマスシリーズって事を考えると、ここまで「一理ある」って思わせてくれない只の害悪キャラクターにしてしまうのは可哀想じゃないかと思ってしまいました。最終回の米内プロデューサーと会長の会話に結論づく事を考えても、「部長の言う事にも一理ある」と思わせてくれないと、あの会話はイマイチ効いてこないよなぁと思いましたね。
兄弟作品のTVアニメ「アイドルマスターシンデレラガールズ」でも、武内Pのシンデレラプロジェクトに立ちはだかる美城常務(現在、専務)がいたわけですが、美城常務のプロジェクトクローネにも武内Pの目指すアイドル像とは異なる魅力がある事を示していた。常務が常務たる所以のような魅力がありました。そういう所がU149の部長にはなく、会長の陰口を言うだけのキャラクターにしてしまうっていうのは勿体無いよなぁと思ってしまいました。
あと、第11話のありす回。
そりゃあ泣くんですが、ちょっとあれは「サイゲ、自分たちの演出力に酔いすぎじゃね?」と引いた目にもなりました。あれをやってしまったせいでありすの等身大の悩みがファンタジックになってしまったのはどうなのか?と思ってしまいました。シンデレラガールズのおとぎ話性をいいように利用してる感が強いなぁと思ってしまいました。
オタクの苦言、失礼しました。w
皆さんはそんな事は考えず、「Nightware」に酔いしれて下さい。奏王子は至高。