ポンコツ娘萌え萌え同盟

星屑テレパスのポンコツ娘萌え萌え同盟のレビュー・感想・評価

星屑テレパス(2023年製作のアニメ)
3.6
作画や色彩は全体的に綺麗で上質だけど、一方でストーリー4コマを前提とした表現が強い星テレはアニメでは留められない部分もある作品だなとも思う部分もある。
きらら自体が登場人物の居場所(=コミュニティ)内での日常やり取りを描いた作品が多い中で、一方で星テレは居場所を求めて点(個人)と点が結び線になる上で、個人の心情とアイデンティティに焦点を当てた作品だと思っている。きららとしては異色の構成の作品ではあるが読んだ時に王道青春ものだと感じていた。「ハッピーセピア」の元気いっぱいみなみ先生大好きなかえでに対して、海果は普段はたどたどしい主人公像だが、本作の内容や海果が光る場面はどの作品よりも強烈な光と煌めきを感じるのに魅了された。
そんな星テレだがアニメ化しても物語自体は大きく変化可能ではない作品と感じていたので、最終的な評価は映像の見せ方の問題になると割り切って鑑賞。
ただ本作の評価にあたって、ほんの一部のアニオリ以外ほぼそのままな出力した構成だったので、原作の構成と特性から切り込みを入れる必要がある。星テレ自体単行本1冊の構成を強く意識しているのもあって、毎月の読んでた単話から単行本にすることで前後の内容との対比から画の構成や台詞から伏線の発見するケースがそれなりにある。なのでアニメ部分の内容を見るとしたら1巻(出会い~居場所の発見)、2巻(ロケ研の発足と危機)、3巻半(1巻と2巻で描いた内容からの対比と成長)のまとまりで読んでから、全体を見ると把握しやすいと思う。ただアニメ版の構成が通常原作の3話分、2話分のそのままの構成ので、アニメ化する際のチューニングもそこまで多くない。本作の内容を一気に見ると汲み取りやすいが、実際アニメで原作の構成を汲み取るなら1~5話(1巻分)、6~9話(2巻分)、10~12話(3巻半分)で考えて見ると一番構成が汲み取りやすくなるかも。
また原作の特性だが画の表現にこだわりを持っている本作は画で魅せてくる事が大きい。星テレは内容はきらら作品中ではの異色さもあるが、一方で独自進化したきらら4コマ漫画の表現の極致だと思う。
というのもきらら自体(フォワード以外は)4コマなのもあって、2コマ分を合成して1コマ、対比、最近だとタイミングでスト―リー漫画のようなコマ割りになる作品も増えてきて独自進化したような演出を行う作品もある。
その中で一際こだわりと表現演出が強いのが星テレだと思う。まず目につきやすいのがトーンによるキャラクターの明暗の強調、コマをはみ出したりフレームを取ってダイナミックな見せ方から、左右のコマでのキャラの対比(特に3巻P36の瞬と遥乃の方向がわかりやすい)など。また過去の内容の画の構図との対比からストーリー漫画らしくあえて背景を描かない事でキャラに焦点を当てた演出や繊細なタッチ、果てにはたまにコマのフレームのデザインまで考えて作られているこだわりが強い。
いわゆる4コマで表現可能な視覚効果を最大限まで演出した作品であり、一方で内容そのまま映像化する上でどうしても漫画で出来た表現がどうしても難しくなり、シーンの味付けが微妙に薄味になるところもある。とはいえ単話の感想で一部で良アレンジとも思える場面もある。でも結局全体としての内容を見ると漫画が完全体の演出となっている。
上記の内容を総括した上で巻構成していく上で非常に過去回との対比が活きたのは皮肉にも2巻の「出陣ウルトラハイパワードリィム」。この話はこれまで描いてきたロケ研で活動の中で不穏が一気に爆発した回だけど過去の対比が非常に活きた単話回でもある。4段先(アニメだと3段)の台のはず階段が無数で表現された高い階段と海果の絶望の表情がインパクトを残す構成となっている。ただ一方この話は過去に描いた場面の対比がある。一つはこストラップ。これはアニメでも見せてくるが漫画でも完全に暗い影のトーンで落としてキラキラさをなくしている印象深く残る。もう一つは「一閃ロケットランチ」の内容の海果の表情との対比。これは彗の打ち上げとそれを見上げていく海果の表情がスプリットスクリーン的(アニメだとクロスカッティング的)に描かれてインパクトを残す場面になっている。ただ「出陣~」は高い階段の壇上にいる彗を見るも、顔を下げると構造が対比となっている。何回か読んで読んでようやく気がついた対比だけど、流石にそこまでは映像に落とし込まれていなかった。全体的な対比や繊細さに関しては漫画の方がわかりやすいところはある。

とはいえ決して悪いアニメ化ではないとはおもう。むしろ原作準拠作としてはそのまま出力してるのもあって内容や雰囲気は掴めやすいし、何より元の漫画がカラーでも相当綺麗だなぁと思ってた分、全体的な色合いの丁寧さがアニメ化でよく表現され活きてる。
オープニングの曲名が最初見たときに松本清張か()?と思ったけど内容手と合わせると粋だし。
例えばオープニングのある場面で後の展開に出てくる場面が現れてニヤリとしたり。アニメ版の出陣ウルトラハイパワードリィムの内容の切りに関しては個人の中では賛否両論だが、一方で展開の重苦しいところを後の「惑星グラビティ」と「再逢ライトソング」の内容を描いた9話にコミットしたことで観る側の展開的な負担を軽減しているとは思う。
なにより作画もより明暗を強調した感じで気合が入ったのもあり、打ち倒されても立ち上がる海果の持つ強さをより感じやすく昇華されているのが良かった。
あとは百合。おでこぱしーが映像で色がつくことであの距離感の強さにドキドキしたね。漫画では個人的にはそこまで強くドキドキしなかったのに。
なにより海果の持つキャラクター性格が普段のたどたどしさから、脆さもあるがたしかなセリフや、成長、彼女の持つ強さなど演じるのが非常に難しいと思っていてどんな声の演技になるか、と想像するのが難しかったんだけど、今ではもう船戸さんの声しか考えられない。