センカン

機動戦士ガンダム MS IGLOO -1年戦争秘録-のセンカンのレビュー・感想・評価

4.1
MSも凄いけど、何気に人間のCGが何世代か先行ってる。

2000年代のサンライズの傑作OVA。ジオンの技術試験部隊という渋い設定と、単話の切ないストーリーも素晴らしいですが、何といっても本作の魅力はガンダムシリーズでも屈指のフルCG作品である事。また、タイトルでも書いた通りキャラのCGも負けじと細かい。フルCGの作品でこんなに顔のドアップ出せる作品は20年近く経った今でも中々無いですよ。ゲームっぽい感じですね。

シリアスな展開ながらキャラのコミカルな面も強く、毎回口をあんぐりさせて驚くマイ技術中尉に始まり、茶目っ気のある艦長や、ヨークシャーテリアばりによく吠えるヒロイン、いやヒロインなのかな?
そして毎回新しい機体と共に出てくるアクの強過ぎる試験パイロット達が実に面白い。彼らの放つ名言もまた今作の魅力。

一作目の大蛇はルウムに消えたの時点から、それまで多くは描かれなかったルウム戦役の描写や、もしかしたらコレが初?のシャアザクのCGなどもあってテンション爆上がり。そのMSの活躍の陰に消える巨砲主義の哀愁がこれまた泣ける。
「これからはMSの時代か…」

二話、皆大好きヒルドルブ。ガンダムでこんなに熱い特殊戦車戦が見れる幸せ。
戦車のやれる事全部やった上でガンダムシリーズらしいギミックも入れてくる、最高に楽しませてくれる機体。
ソンネン少佐こんなややこしい機体扱えるのになんでMS適正なかったんだろう…、試験パイロットらしく声で記録を残し続けてるのが偉い。
「来たな…、戦争を教えてやる!」
「一発あれば充分だな…」

三話、これまたビッグネームのヅダ。この作品によってその後のゲーム媒体で自爆機体の烙印を押された哀しき機体。
ってかマイ技術中尉が機体の事何も知らずに改良した事主張してて面白い。技術屋なら報告書読んでから来い笑。
あの内容だと何気にジムも欠陥機では…
モグラ放送でクスクス笑いする旧ザク可愛い。ってかモグラ放送艦橋の大画面で観ないでよ。
ヅダも良いですが、この話はオデッサ作戦と時を同じくしており、宇宙に上がったザクJ型が溺れ、ボールにやられる姿がなんとも哀しい。ここでBGMにOP使うのがまた良いんですよ。
欠陥機としりながら出撃、指示した自らが出る事でマイを黙らせるモニクで初めてこの人好きになりました。
「MSヅダは最早ゴーストファイターなどではない…、この重大な戦局で確かに闘っている。この独立戦争に厳然と存在しているのだよ…」

戦争内での期間としては、ここまでで11月くらいまで来てて、後半は終戦まで描く。
よくよく前半の実際の期間は長いですよね。ヒルドルブやヅダの間にも試験機体があったのでは?と考えると妄想が膨らむ。

点数内訳
世界観:4.5
ストーリー:4.0
キャラ:3.5
音:4.0
映像:4.5
スコア:4.1




2期目の登録無かったので下記に記載、登録申請してみたので座して待ちます。


もう寄せ集めしかないじゃないか…

後期は一年戦争終盤も終盤。ほぼほぼ時間軸のスキップ無しでの連戦といった感じ。ヨーツンヘルムのいつものメンバーに加えて2話で登場のカスペン大佐がまた良いキャラしてます。良くも悪くも生粋のジオン軍人。不和を生みつつもジオンのために闘い抜く姿勢が最高でした。
前期と比べて出てくる試験機が特徴的で、戦争末期で物資の限られる中、絞り出すように作られた急造機体ばかり。比べてみると前期は主力機MS、中でもザクの登場で歴史の影に隠れた哀しき機体ってテーマがあるようで、差分がよく分かる。

一話、この話だけ謎度高い。
ジオンが地球から撤退し主戦場が宇宙になっていく転換期、ジャブローから続々とサラミスが打ち上がるトコを描くってのは面白いチョイスです。
シリーズ屈指のイかれたキャラ、いやその軍服そんなに改造して良いの?最終的にアイツはなんだかよく分からないけど、まぁ良いかってなってて笑います。
そして搭乗するゼーゴックは兵器の廃棄が目的ですか?ってくらいの面白機体。
一話で3回も換装し戦闘、もといダイビングが見れたのはちょっとお得。

二話、ここからが本編。ジオンの棺桶ことオッゴたん。これ作った技術者に命の大切さを説いてやりたい。そして学徒兵と共に着任する先述のカスペン大佐。
あと特務大尉は知り合いこの艦に来過ぎじゃない?顔広いんかな。
これまでの激しい戦闘が嘘のようなボール隊との小戦闘、なのに泣くわこんなん!

三話、最終回にして最終局面のアバオアクー、登場するビグラングのパイロットがまた驚きなんですわ。遂にかーって感じ。後半はもう胸締め付けられる展開のオンパレード。最終決戦といえば艦長の演説。救援に来る上官達
「待たせたなぁ、ヒヨッコ共!」
「世話を焼いても焼かれるのには慣れていないか!」
またOPの流れるタイミングがええんですよ。

ビグラングがまた良い背景抱えた機体。これ完全体のラングだったらどうなったんだろう…、パイロットは?、補給機能は元から?、などなど想像膨らむ。
そして普通に強い、というか無双してる。パイロットの技量不足とか冷静に評価してますけど、粒子砲的確に当ててるんですよね。ジェネレーターの出力管理よりずっと重要な気が。あの巨体でよく闘い抜いたなぁ
「我々の最期の闘いの映像を送ります、記録願います、願います!」

またこの手の作品観てみたいですねー
新作OVAが楽しみ。

点数内訳
世界観:4.5
ストーリー:4.0
キャラ:4.0
音:4.0
映像:4.5
スコア:4.2
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