馮美梅

REVENGERの馮美梅のレビュー・感想・評価

REVENGER(2023年製作のアニメ)
3.9
まったくどんな物語か知らず見始めましたが、一応舞台は日本(江戸後期?な感じ)の長崎だけどあくまでもフィクションの世界の物語です。

が、そんなフィクションの中なんだけど、要所要所が素晴らしい。

このアニメの主人公と言ってもいい薩摩藩の侍・繰馬雷蔵は自分の許嫁の父を藩の人間から指示され殺してしまう。
自分が信じていた者たちは実は自分を陥れ、真実を知った時には大切な義父そして愛する許嫁を失ってしまう。

失望の中、幽庵はじめ4人の「よろず利便事(りべんごと)引受け」という仕事を手伝うことに。
表向きは何でも屋しかし、実は、無念な思いを持ちながら死んでいく者が死の直前に小判に歯型を付け、敵討ちをしてもらう、必殺仕事人みたいな稼業。


雷蔵は薩摩藩の侍だけあり示現流の使い手で、所作やあの切込み前の奇声も見事に再現しているし、碓水幽烟の表の仕事の蒔絵師の作業シーンも丁寧で見ごたえあります。
物語はメインは薩摩藩、長崎奉行などが関与した問題だった。

その真実を突き止めながら、利便事屋としての仕事を進めていく。
兎に角、雷蔵が不器用ながらも良いヤツ過ぎて、それが仇となり大切な人たちを失ってしまった。

愛する人を助けられず、自分の生きていることの意味を探し求めようとする雷蔵、彼の悲しい人生が切なすぎた。
でも、最終回の彼の姿を見たとき、視聴者は何を思うのか、すごい伏線回収だった。

最初はなんちゃって必殺仕事人アニメかと思ったけれど、人生に翻弄された切ない1人の薩摩藩士の物語だった。
かなり余韻の残った作品でした。
馮美梅

馮美梅