ちょげみ

葬送のフリーレンのちょげみのレビュー・感想・評価

葬送のフリーレン(2023年製作のアニメ)
4.2
この作品は...面白い...!!

昨今のアニメ業界の風潮として、クオリティの高い韓国映画やアメリカで莫大な金をかけて作られた作品に対抗するための方策として、ヒットしそうなアニメに腕利きのクリエイターと予算を全ブッパして超クオリティの高いアニメを作る、というものがあると思う。

今作もその例に漏れず、原作が大ヒットしている「葬送のフリーレン」をアニメ化するにあたって、一大ブームを巻き起こした「ぼっちざろっく」の監督である斎藤さん、ここ数年のアニメの主題歌といえば!のYOASOBIが起用されている。

まあ視聴者側からすれば期待度が高い原作を元にしたアニメが高いクオリティで作られることは万々歳なんだけど、やっぱり人材とお金を一箇所に集中して作る事で相対的に他のアニメとの格差が否が応でも広がるっていうか、期待度が低いアニメは低クオリティで作られるのは救われねぇな、っていうか、まあそれはしょうがないことなんだけど。。。

それはともかく。


「葬送のフリーレン」の魅力は数え切れないほどありますけど、やはりいの一番に思いつく魅力としては"思い出の大切さ、人と過ごす時間のかけがけなさ"に気づかさせてくれる構成になっていることでしょうね。

本作は1000年生きているエルフであり、過去(100年前くらい)に魔王(だっけ?)を倒し世界を救ったことのあるフリーレンが弟子のフェルンと共に旅をするという物語で、旅の道々で昔の仲間との思い出に巡り合う話が多いんだけれど、これがまたいい...!!

「1000年生きる私にしては、たった10年の旅の思い出などあってないようなものだよ(意訳)」

と回想の中で言っていたフリーレンだけれど、しっかり大事な思い出になっちゃってるんじゃん。。。
100年前の旅の目的は魔王を倒すことだったけど、その旅の道中のあれこれも大事な思い出なんじゃん。。。

結局、魔王を倒す事を目的に旅をしていたフリーレンだったけれど、後から振り返ってみれと一番彼女にとって大切な、かけがえのないものは彼らとの思い出だったわけですね。
ドライなフリーレンだからこそ、130年前の旅の思い出を大事そうに抱えている描写をみると心を動かさせますね。



そしてそんなテーマ全体を包み込むような、物語全体のテイストも魅力なんですね。

中世のヨーロッパみたいなとこを舞台にした作品なんですけれど、彼女らの日常を描いた牧歌的な話と、緊迫感のある戦闘を描いたシーンの割合がいい具合にマッチして、なんともいえないハーモニーを生み出しているんです。

なんというか、、いい意味でサンデーらしいというか、少年漫画と少女漫画のいいところをギュッと濃縮して詰め込んだような作品になっていると思います。

それに加えて、エルフであるフリーレンの時間感覚に合わせるようにのんびりとした旅の行程を描いているので、見ているこちら側としてはすごいくつろげると言いますか、実家でアイスを食べながらこたつでぬくぬくしている時のような名城しがたい安心感を与えてくれます。
あと、師匠でありながら子供のようなフリーレンと弟子でありながらお母さんのようなフェルんの関係性もみててほっこりしますね。
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