じんないたくみ

私の推しは悪役令嬢。のじんないたくみのレビュー・感想・評価

私の推しは悪役令嬢。(2023年製作のアニメ)
2.0
百合は好きなんだけど、この作品は主人公が無理だった。
やってることは同性を笠にきたセクハラの応酬で、ヒロインのクレアの幸せを願う割には本人が嫌がることばかりして自分はそのクレアのリアクションが堪能できて幸せ、ってなってるの、ちょっとキツすぎる。ただのセクハラ親父じゃん。
同性愛者とか関係なく普通に不快では?
もともと主人公もいろいろ苦しんでたっぽいけど、じゃあヒロインに何しても仕方ないか、とは思えなかった。

「アニメ的な演出」ってことでなんとか飲み込んだけど、その割にはシリアス(物語的なシリアス展開ではなく、同性愛者について踏み込んだシリアス)をぶっこんでくるから、どういうスタンスで楽しめば良いのか迷う。
例の3話の説教も、言ってることはわかるけど、それならなおさら主人公のクレアに対する行動はシンプルに問題では?と思った。
ざっくり言えば「男性も女性も関係なく、ちゃんと理性があるのだから、相手を野獣のように怖がるのは失礼」って話だと思うんだけど、主人公は理性的に考えたらありえないセクハラムーブをヒロインにかましてるわけだから「理性ある存在として接しろ」と言われても困るのでは。
それなのに同性愛者代表ヅラで庇われたりするから、すげーもやもやした。

構成も悪かったと思う。
もとのゲームシナリオ上、最終的にクレアが破滅するようなことになるからそれを回避したい、ってことだと思うんだけど、何がどうなってそうなるか、その絵が見えないから、途中途中の主人公の意味深なセリフに共感できない。
「何があっても諦めないでください」ってのがたぶん破滅回避にとって意味があることなんだろうけど、見てるこっちはなんにも知らされてないから、「はあ」と冷めた気持ちになってしまう。
ここは「それを伝える重要性」が描けていれば、「ちゃんと届けー!」と応援できただろうから、シンプルに構成や演出に問題があると思う。

もともと主人公が社会人やってたってのも不快感につながっている気がする。
社会人やってたのに、他者を敬わずにセクハラこいてるのは「なんだかな〜」と感じてしまう。
これが別に転生者とかじゃなくて、たんにその世界で生まれたひとりの女の子だったら、そういう不快感はなかったと思う。子供だしって割り切れたと思う。

そもそも同性愛者の問題にフォーカスさせたいなら、RPG世界に転生している設定が邪魔になっているように感じたし、もっと素直な世界観のラブコメとしてやったほうがテーマがストレートに描けたんじゃないか、って気がする。
なんというか、いわゆるなろう的な演出によって、心理描写がごまかされているような、勢いで解決しちゃってて、結局、エンタメをやろうとしているのか社会派やろうとしているのかわからない。

クレアは可愛いと思う。