喜連川風連

東のエデンの喜連川風連のレビュー・感想・評価

東のエデン(2009年製作のアニメ)
4.0
今後も救世主足らんことを。昔見てたのに、すっかり忘れていた。神山監督作品振り返り。

日本をミサイルで更地にして、既得権益の再分配を図る。視聴当時はなんのこっちゃと思っていたが、今見ると現代日本と状況が近いことに鳥肌が立つ。

「ミサイルが落ちた時、もっと凄いことが起きればいいのに」そう語ったヒロインと同じようなことをウクライナ戦争を目にして言った知人もいた。

「もう自分じゃどうしようもできない日本のことをホワイトハウスにお願いしようかなって」
こうしたセリフの一つ一つが日本を薄く覆っている空気を鋭く捉えている。

100億の自由に使っていいお金、ただし私利私欲のために使うことはできない。

これは税金という与えられたお金を使って国をよくするという擬似的な政治家体験でもある。正義をしても全員に支持されることはない。

しかし、主人公の語る言葉一つ一つは真を食っててかっこいい。
「上がりを決め込んだおっさんたちのために、人生を捧げる必要ないさ」

作中の正義とは、目の前の困った人を助ける、ところに集約されていた。

主人公の正義は、何かを変えようとする存在を阻止することにあり、主人公が主体性を持って、国を変えようとした行動は最後の自己犠牲に集約される。

これは政治家の本質をついてることなのかもしれない。優秀な人間に変わって泥を被る損な役回りする。そんな人が少しでも増えると国は好転していくのだろう。

ニートが増殖を続けるゾンビのように描写されていて面白かった。

ノイタミナ枠では異色のラブコメ政治SF。

タイトルバックやタイトルを可愛く作っているのに、語っていることはかなり硬派という異色作品。かなり面白かった。

最後、大きく広げた風呂敷を回収しきれていない感じがあったが、これは映画版で回収される?→(追記)されませんでした
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