ちょげみ

キングダム 第1シリーズのちょげみのレビュー・感想・評価

キングダム 第1シリーズ(2012年製作のアニメ)
3.8
今まで自分が持っていた歴史漫画への固定観念を吹き飛ばしてくれた傑作。
正直アニメ版(第一シリーズ)だと目も当てられない部分もないわけではないけれど、しかしそれを補ってあまりあるストーリーの良さが作品全体の印象を底上げしてくれる。

舞台は紀元前3世紀の古代中国。
500年続く戦乱の中、数々の小国が滅ぼされた結果残った7つの国、戦国七雄の一つである秦。
後に歴史上初めて中華を統一することになった秦の大王・嬴政と天下の大将軍を目指し日々鍛錬に励む下僕の少年信を軸に物語は進んでいく。


先述の通り、キングダムは嬴政の目線と信の目線、この二人を軸にストーリーが進むんだけど嬴政の政治、信の戦い、どちらも見応えがあって飽きるということがない。

特に信の戦いのシークエンス。
国対国の領地の取り合い合戦の場合、数万対数万の規模の戦争がデフォルトになるんだけど、一兵卒の信が奮起して戦場での"火の起こしどころ"を作り、徐々に戦局は変化していく。
一兵卒である信の目線から見る戦争は熱気に溢れた凄惨な光景だ。
万の兵士が殺し合う中戦場という惨禍でなんとか生き残ろうとする歩兵、磨き上げられた戦術や武器、絶体絶命の状況の中なんとか活路を見出そうとする信達、一戦場での戦闘シーンは他の作品の追随を許さない圧倒的なボリュームで繰り広げられるため圧倒される。

そしてまた、戦場をコントロールする指揮官(将軍)も魅力的。
王騎将軍はもちろんのこと、万の兵を束ねる立場にある指揮官は皆個性豊かで心を惹かれる。

戦場では歩兵である信達がひたすら目の前の敵を屠る視覚的にインパクトがあるシーンと、指揮官が俯瞰的に戦場を観察し状況に応じて戦術を変化させていく頭脳戦的な模様、この二つが連続的に展開されるため、息もつかせぬほどの興奮を感じることができる。


映画、アニメ、漫画の3つを比較してしまうとまあアニメ版が他の二つに対して遅れをとってしまうけれど、それでもこの1期はさておき、2期目、3期目になるにつれて作画にレベルが上がり、徐々に面白くなってはいっています。
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