『キャラが負けることに異常な忌避感のあるアニメ』
準レギュラーからサブキャラに到るまで「バトルで負けると格が下がる」とでも思っているのか、『負けない』ように細心の注意が払われている。
つまり『勝ち』もない。
時間稼ぎや撤退、引き分けばかりで爽快感の薄いバトルが9割を占める。
フリードとアメジオのバトルは5話連続で決着が付かず、主人公側が逃げてばかり
詐欺師との戦いですら後から来たピカチュウに助けられ、リコが勝つことはなかった
リコとダイアナのバトルでは「一撃でも入れたら勝ち」というかなり舐めた条件で試合を行い、ダイアナの格（笑）が下がるのを防いだが、それで勝ちにしてくれるのは身内のお婆ちゃんだけだろう。
この先エクスプローラーズや伝説のポケモンと戦うのだから、ちゃんとしたバトルで勝って安心させてあげるべきだった。
最序盤の虫ジムのバトルでも、ヒメグマに負けたが絆を見せてくれたので合格、というサトシが旧無印でやって顰蹙を買い、それ以降はほぼやっていないお情けバッジゲットのようなことを今更やっている。1年放送してもリコが弱すぎる。
ロイも「黒いレックウザと戦いたい」というばかりで「勝ちたい」とは殆ど言わない。記念バトルのつもりなのか？明確に言ったのは放送1年を通して1度だけだ。
「ぼくと戦って」と言う度に黒いレックウザは答えてくれているが、ロイが嬉しそうにした様子は一度もない。しかも大人が横槍を入れる。そしてロイ自身は1,2発で退場。バトルになってないのはロイ自身の実力の問題。
そしてフリードはそんなロイに「まだ負けてない」と言う。
いやボロ負けだろ。認めてバネにしろ。言葉遊びで現状認識を歪めるな。
『キャラが負けることに異常な忌避感のあるアニメ』である。
活躍させなきゃいけないノルマがあるのか、ピカチュウだけは結構勝っている。しかし主人公のポケモンではない。
リコやロイがピンチになりピカチュウが駆け付ける。これは手柄と成長の機会が奪われているだけだ。ピカチュウはリコロイの指示がなくても動いてくれる。リコロイは見ているだけ。なんのための主人公だろうか。
そんなにピカチュウを活躍させたいなら主人公の手持ちにするか、フリードを主人公にした方がよかったんじゃないのか。
ここに限らず、子供が活躍することを妬む展開が随所にある。子供は中々勝てない。
サトシが20年以上リーグ優勝できなかったように「子供はそう簡単に成功できないぞ」と押さえつける空気が各話に流れ続けている。
サトシはシリーズ毎のポケモンリーグの終盤に抑え付けられるだけだったが、リコとロイはずっと子供として抑えられ続けている。
リコは六英雄のポケモンが手持ちにいるにも関わらず、それと交流することさえ許されない。ロイだってガラルファイアーに鍛えてもらえば黒いレックウザに対抗できるぐらい強くなれるだろうに、それもない。
子供が大人を超えてしまうからだ。このアニメは何よりも大人が負けることを許さない。
1年を経て保護者同伴の旅はやっと終わったが、ここを改めない限り子供達に夢を与えるアニメには到底ならないだろう。
