秀ポン

PLUTOの秀ポンのレビュー・感想・評価

PLUTO(2023年製作のアニメ)
1.0
友人からゴジラ-1.0と一緒にこれも勧められたので見た。後は正欲も勧められた。

ながら見でなら面白……いやそんなに面白く無かった。
思わせぶりな前フリ描写ばかりで徐々にどうでもよくなっていって、3話くらいからは友人への義理だけで見ていた。

話の内容について。ロボットの話ってのはそうなんだけど、大事なのはロボットをどう描いた話なのかって点。
人間の感情の真似事をするロボットを見て、最初は人間とロボットの違いについての話だと思っていた。
しかしその割には、人間の感情と、それをエミュレートしたものとの差分が描かれているようには思えずモヤモヤしていた。

途中で分かったが、この作品においてロボットの究極系は、殺意を手に入れ、ロボット三原則の「人に危害を加えてはならない」を突破して人になるということらしかった。
つまりこれはロボットと人の違いを明らかにするような話ではなく、この作品内で、ロボットは人に向かって進化している。
そしてこの「ロボットのゴールは人間である」という発想自体に古の牧歌的な(あるいは人間中心的な)未来予想図が表れているような感じがする。
(デトロイトもこんな感じのスタンスだったけど、あれは単に独立する被差別集団のメタファーとしてのアンドロイドだった。このプルートにもそれに似たニュアンスはある)

それよりは、人間的であることはロボットに可能な挙動の集合の一部でしかなく、放っておいたら彼らは人間の理解不能な領域に行ってしまうというスタンスの方が個人的には好き。(認識として現実に即しているかどうかではなく)

もちろん殺意こそが人間の条件だという結論では終わらず、アトムは最終的に憎しみ(≒殺意)を乗り越えていた。
しかしそれは人を離れたということではなく、「殺意すら乗り越えることが真の人間である」というように、ロボットが体現する形で人間の理想が提示されただけだ。
つまり「心正しい ラララ 科学の子」だ。
その展開は嫌いじゃないけど、その頃にはどうでも良くなっていたので無感情で見ていた。やっと終わったとは思った。

殺ロボット事件を追うロボット刑事や、夫ロボットを亡くした未亡人ロボットなんかの、ロボット→ロボットの関係は面白かった。
ロボットに依存するロボットというガワの部分が面白かっただけで、ロボット人情話の内容が面白かった訳ではない。

全体の感想は、面白いってのと面白そうってのは同じじゃないって知れたのが良かった。後者はよりテクニックに依拠したものっぽい気がした。
(そして後者だけが続いた場合、その効果は薄れていく)

──その他、細かな感想。

・モンブラン記念碑がスポメニックみたいだった。

・ライオン2頭トラ2頭チーター1頭に囲まれて泣く子供って面白いな。

・アトムが出てきたのはちょっとテンション上がった。他作品の主人公がゲスト出演したみたいな。と思ったら結局アトムの話なんかい。

・悲しんでる人に対して「向こうでもっと悲しんでる人がいるの!」
感情を定量化するのはロボットっぽくておもろい。

・アトムと食事する天馬博士がゲンドウっぽすぎた。

・ロボット養子縁組制度でロボットに育てられる子供たちが出てくるけど、彼らはロボチルドレンってこと?それとも人間の養子か?
ロボチルドレンだった場合、なぜ彼らは子供の姿をしてるんだ?ロボットの子供になるために作られた子供型ロボットってなんだ?これは面白い。

・てか1話1時間ってなんだよ。実質2クールじゃん。俺こんなのを2クールも見てたのかよ。なんかむかついてきたから点数下げちゃお。
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