shiho

PLUTOのshihoのネタバレレビュー・内容・結末

PLUTO(2023年製作のアニメ)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

見始めてしばらくは、「こりゃ〜大当たりだ!」と思って楽しんでた。けど見終わった時はもう、どんよりよ。むしろ観なければ良かったとさえ思った。

明るいアニメじゃないなぁ。ひたすら「破壊」と「蹂躙」を感じた。虚無だった。それでいてメッセージが分からない。戦争は悲しいものだ、いけないものだ、それはわかる。でもこんなに精神ダメージを受けるならロボットはロボットのままでいいじゃないか。人間に近い脳なんてつけるな。半端に人権があるのも世界観としておかしい。殉職しても体さえ妻の元に帰されない警察ロボってなんだよ。ツッコミどころがありすぎる。

AIの進化=「人らしさとは何か」みたいなテーマはSFしてて大好きだ。でも結局優しい心を持った生きたかった彼らは、人間の憎しみの塊の化け物に次々殺されてしまった。ここまでやるならいっそ人類の最後の希望の存在アトムこそ犠牲にした方が、この世界は学習したと思うしこの作品の意義があったと思う。

エプシロンとゲジヒトが死んでしまった時点で私は絶望した。エプシロンが美形の男性の見た目だからかなぁ?って思ったけど、これが好みじゃない容姿の女性ロボだとしてもやっぱり同じくらいダメージを食らったと思う。あんな優しさの塊みたいな存在が殺されるならもう希望なんてない。

そもそも散々引っ張っておいて元々の根源は戦争が産んだ人間の憎しみの怨念で、平和を愛したロボットがそこに取り込まれて洗脳されて襲ってくるって…なんかめちゃくちゃだ。その糸を引いている黒幕もロボットでした!う〜んそうか。こんな未来が来たらこわいよね?って話をしたかったのかな?悪趣味だと思う。感情論でごめんねだけど。

「憎しみは何も生まない」といくら賢明なロボ達が学習しても、それを使う愚かな人間達は学習出来ないと思う。こんな悲しい物語を見たくなかった。そもそもやはり手塚治虫原作、時代が昔過ぎる。今の感覚では受け入れ難かった。

映像と声優も良かったんだけどね。まぁロボ達のデザインはやや古臭かったかな。そもそも連続殺人事件のディテールが残酷過ぎるんだよな。あと敵のビジュアルがダサかった。ブラウ1589はとても好きだった。
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