みやっち

PLUTOのみやっちのレビュー・感想・評価

PLUTO(2023年製作のアニメ)
2.6
全8話もあるので見応えは十分だったが
私の心が汚れているせいでキッズのように
目を輝かせて見ることができなかった。
ちょっと残念(笑)

いろんな作品へのオマージュもあって
変なところでニヤニヤしてみてました。
囚人ロボに皆がお伺いたてにいく所なんか
まるっきり「羊たちの沈黙」のレクター教授
とクラリスのやり取りですな。
ボトムズのトルーパーみたいな頭部デザイン
とか子供ロボが某映画製作会社のマスコット
に似ていたり。

物語のプロットはイラク戦争時のアメリカと
イラクの対立をベースに「反米主義」的な
ポリコレ臭を感じちょっと鼻につく。
民間人虐殺の悲惨さは結構なんだけど戦地では
両方死者が出るんですよ、どちらか一方だけ
死ぬなんてことはない。
そこを描かないからポリコレ臭がするんだよなぁ。
「打倒!帝国主義!」みたいな。

「憎しみは悪」連鎖を断たねばというのが
テーマみたいだけど嫉妬や恨みつらみといった
「負の感情」も人間の情動には必要で何かを
成し遂げる起爆剤にもなりえるのだ。

毒も量を絞れば薬になる例えがあるが負の感情も
そうした物で人間の心には必要なファクターだ。
独裁主義や帝国主義も自国の幸せ(だけ)を
追求した結果なのであって見方によっては
「+の感情」の純粋化ともとれる。
いっぽう「他者を省みない」行為は独善的で
共存共栄には向かない。
人間の幸福追求は80億の人間のエゴのせめぎ
あいなのだ。結果現実社会はいまだに戦争を
継続している。
幸福追求というエゴと同時に倫理的正しさを
併せ持つ存在に人類すべてが進化しない限り
暴力=力で解決という構図は永遠に変わらない。

アトムは完全無欠の100%優等生。その高い
倫理観は実は「人類進化の完成形」なのだが
それは機械だから可能なことで心の歪さを
併せ持つ人間には真似のできない絶対正義なのだ。
より正しく生きることは人類には理想であるが
絶対到達できない「絵に描いた餅」ともいえる。
様々な創作物でロボットが人間に憧れ近づきた
いと望む作品が多いけど、実は人間は欠陥品なのだ。
みやっち

みやっち