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キボウノチカラ~オトナプリキュア‘23~のtubameのレビュー・感想・評価

3.2
2000年代前半に放送された「プリキュア5」「splash star」のキャラクターたちが大人になった姿を描く物語。シリーズ20周年企画として制作された作品。


中学生だった彼女たちも社会人になり、仕事や恋愛などそれぞれの壁にぶつかり思い悩みつつ、街を狙う新たな敵との戦いに挑んでいく。これは同じく大人になった当時のメイン視聴者を意識した設定である。成長したみんなが頑張る姿を自分に重ねてもらい、勇気づけることを志向した作品と思われる。
とはいえ自分は本作きっかけで配信された「プリキュア5」シリーズをつい最近観たことが視聴の動機なので、その点では評価はつけられない。悪しからず。
従って話の中身中心の話になるが、これはもう既存のキャラを大人にする時にどこまで現実に依った描写にするかという問題が大きかったなーという印象。

前述の志向のためにはある程度リアリティが必要で、結婚と仕事の話の件は実際かなり生々しかった。ただ全体的には当時の雰囲気を踏襲しており大人要素は薄く、せいぜい酒酔いシーン程度。
バランスを取ったことは理解出来るが、オトナと銘打ったのであれば個人的にはもう少し大人の方に寄せても良かったんじゃないかな~と思った。ラストの展開も良かったねと思いつつ、ファンタジーが強すぎてう~ん...と思わないでもない(匂わせとかなら全然ありだと思うんだけど、EDで完全にその画を見せてしまった辺りがあんま好みではなかったかな)。
のぞみ以外のキャラに対する尺が短くて終盤はサブみたいな感じになっていたのもなんか勿体無かった(この理由からあの人達のサプライズに関しても否定的な意見です)。


あとは今回Eテレでの放送だったためSDGsが題材として取り入れられていたが、あまりにSDGsそのままでお出しされたので笑ってしまった。普段のプリキュアならもうちょっと調理してお話に巧く組み込んでたと思うんだよな...
ただもうどれもこれも1クール10話しか尺がないのが最大の要因で、せめて2クールあったらキャラの配分も話の完成度もSDGsの消化ももっと上手いこといったのではないかという気がしている。


物足りなさは残るものの、過去にないチャレンジをした意欲は大いに評価したい。キャラは終始可愛らしかったし、曲も良かった。
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