YOU

新世紀エヴァンゲリオンのYOUのレビュー・感想・評価

新世紀エヴァンゲリオン(1995年製作のアニメ)
4.5
庵野秀明が原作・監督を務めた、1995年放映のSFファンタジー。
汎用人型決戦兵器エヴァンゲリオンのパイロットに任命された14歳の少年少女の苦悩と葛藤を描いた本作は、社会現象化し日本全土に“第3次アニメブーム”を巻き起こした大ヒットアニメ。私のエヴァ体験は非常に歯抜けかつあべこべでございましてね。まず初めは小学生の頃に地上波で観た『破』→中学に上がりテレビシリーズをちらほら→当時劇場公開していた『Q』→地上波で『序』(『旧劇場版』は未見)という感じで、要はこれまでエヴァにドハマりした事は一度もございません。『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』まで9年もあったんだから本当はその期間に観ておけば良かったんですけどね。結果2022年の2月という実に微妙なタイミングで遅ればせながらイッキ見してみた訳ですが、いやぁ面白かったです。私自身はエヴァ世代の方々よりももう一世代下の人間なので、リアルタイムの熱狂や困惑は事後的に知ることしか出来ませんし、何なら事前に「斬新、異色、過激、規格外、賛否両論」といったイメージを把握した上で鑑賞に臨んだ人がほとんどではないでしょうか。なのでこれを純粋にロボットアニメとして観始め、徐々にその異様さを察し、放送終了後には観た人同士で議論をぶつけ合ったり考察や二次創作に夢中になったというエヴァ体験は心底羨ましい!近年社会現象となった『君の名は。』や『鬼滅の刃』に関しては一応現代人として立ち会えたつもりですが、やはりエヴァはそれらとも明らかに一線を画する異様な存在だと思います。

先程も申し上げた通り私は9年前に知識も思い入れも希薄のまま『Q』を観に行きまして、その時は当然何が何だか分からずじまいで正直めちゃくちゃ期待外れでした。ただテレビ版、旧劇場版、新劇場版を全シリーズを履修した今となってはむしろ『破』こそがイレギュラー、『Q』は至って平常運転だったという事も分かりますし、先日『庵野秀明展』に向けてまた観直したのですがやはり私は『Q』も全然嫌いじゃないですね。また次作『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』に関しても興味や感慨の深さは初見時よりも数倍増しました。あと今回イッキ見したことで恥ずかしながら初めてその凄さに気付けたことと言えば「曲」ですよね。大ヒットアニソンとしてアイコン化されている『残酷な天使のテーゼ』もちゃんとセットで聴くといかに周到に作られているかがよく分かりますし、往年の特撮映画・ロボットアニメのイズムを正しく継承しつつも新時代を開拓するという本作の熱い意気込みを代弁するような劇伴も素晴らしいです。その他にも感心させられる部分は沢山ありますが、とにかく実感したのは「こんなアニメは今後二度と出てこない」という事です。監督の作家性のみならず当時の時代性や剥き出しの創作体制、作品を取り巻くムーブメントまでもが作品を形作っている大変稀有な存在という意味で、個人的には大林宣彦作品にも近いものを感じます。長々と述べてきましたが一言で要約するならば、「これを毎週観てた人が羨ましくて仕方ない!」



























































































あの学園コメディみたいなパートを3シーズンくらい観てみたい。
YOU

YOU