ぐる

昭和元禄落語心中のぐるのレビュー・感想・評価

昭和元禄落語心中(2016年製作のアニメ)
5.0
漱石の『こゝろ』や、「覇王別姫」を思い出しました。六代目圓生と五代目志ん生がモデルなのかしら?というエピソードもチラホラ。
孤独に生きる当代一の名人が、落語に未来を見出そうとせず、落語と心中すると言う訳はなんなのか。彼の決意は覆らないのか。

山寺宏一さんの助六がね…万人を惚れさせるような声だな〜と思ったらやっぱり…
林原めぐみさんの声はどこか幼げなほど俗世の感じがない清らかさがあって、みよ吉という大人びていながらも愛に飢えている複雑な女性にぴったり。ゾワッとしっぱなし。
エヴァ組揃い踏みじゃない??と思ったら皆さん過酷すぎるオーディション突破とのことで、本当にすごい…

繊細な映像と声優陣の凄まじい演技力で繰り広げられる、世代を超えた人間模様にただただ圧倒される。憧憬と嫉妬、芸の道と人情、青春の夢と歳を重ねるほど重くのしかかる現実、名跡を巡る因縁の歴史。

ーーー以下ややネタバレーーー
落語を愛し才に恵まれた者と、自分の居場所を探すのに必死な者。みなしごで芸の他には何も持たない者と、縁と人付き合いで大切にされてきた者。誰にでもやさしくしてしまう者と芸のために色恋を捨て孤独を望んだ者。因縁つきの名跡と落語の未来は、二人揃って初めて背負えるはずだったのに、どこから運命の歯車は狂ってしまったのか。友情か恋か芸か、何と「心中」することを決断するのか。
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