滝和也

紺碧の艦隊の滝和也のレビュー・感想・評価

紺碧の艦隊(1993年製作のアニメ)
3.9
昭和18年ブーゲンビル島
上空にて一式陸攻に搭乗
していた山本五十六大将
が米機P38ライトニングに
より撃墜、死傷した…

山本五十六が高野五十六
として後世世界照和へと
転生することから物語は
始まる…。

「紺碧の艦隊」

異世界転生モノの奔りとして、時空改編戦記物の代表作として高名な荒巻義雄先生の大作のアニメ化。歴史好きで戦史を学んだ方なら、この時の判断が…!と言う歴史の転換点があるのはおわかりですよね。この作品は日本が唯一と言って良い敗北、失敗を招いた第二次世界大戦を舞台に前世からの転生者たちが後世日本を正しい姿へと変えていく勇気と努力の戦いを描いた大作です。

高野五十六海軍司令、大高弥三郎陸軍中将を中心に日本が泥沼に落ち込まないよう、政治、軍事、技術と改革を時に強引に仕掛けながら、国内を抑え、歴史の力により開戦せざる得ない日米太平洋戦争へ突入。その日のために作られた巨大潜水艦隊が前原一征率いる紺碧艦隊。彼らの活躍により米太平洋艦隊から壊滅、4隻の戦艦拿捕、ハワイ島占領がなります。その後も前世での失敗を活かして戦略を展開していくわけです。パナマ運河爆撃、原爆開発阻止作戦、さらにB29からの爆撃に対し発進する蒼莱(震電改)とストーリーはスカッとするような内容です。

対する米国は闇の政府に操られたルーズベルト大統領、そして日本はナチス・ドイツへも宣戦布告を行い、正義の鉄槌を振るうんです。

歴史の転換点をすべて日本が正して行けばと言うある意味ご都合主義な部分はあるのですが…やりようによっては世界から尊敬を受ける国になり得たのかなぁと。植民地ではなく同じ有色人種の独立国と優先的に貿易できるよう、支援していたら…と。政治的な部分の魅力ですね。

また、ミリタリー部分では…紺碧艦隊の潜水艦隊作戦の妙味、新型戦闘機や艦船の随時導入(ジェット機まで)ラスト近くでは戦車が74式そっくりの蒙古が出てきます。またそれを使う大日本帝國の大志が冴え渡ります。

ヒトラーも転生者と言う…悪鬼羅刹なみの存在で、大西洋、地中海、インド洋まで進出してきます。(スターリンも勝てません)そこに直接対決を挑むのは旭日の艦隊で描かれます。作品としてはクロスオーバーして描かれています。

インド戦線がやや長く、だれてしまう部分はあるのですが、架空戦記の最高峰といっても間違いありません。転生者のストーリーとしても祖にして見事なストーリーです。真面目な感じで進みますので心して(大和魂持って)見てほしい大作です。
滝和也

滝和也