垂直落下式サミング

魔法少女にあこがれての垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

魔法少女にあこがれて(2024年製作のアニメ)
4.0
変身ヒロインわからせは一般性癖。
最高にかわいい魔法少女は、清く聡く揺るぎない!だから、痛めつけたい、苦しめたい、自分のものにしたい、めちゃくちゃにしたい、自分の手の内に囲ってしまいたい、だってかわいいんだもん。
メチャクチャな倫理を描いているようで、欲望と理性のあいだで葛藤する心理の動きとしては理にかなっているし、悪辣悪趣味にみえて実は品がいい。俗悪さのなかに、すげえ密度の高い純文学っぽい問い掛けがある(ような気がする)
主人公の変態が、ひとりの変態として、自分の中にある言語化し得ないような特異な感情をどうにかこうにか理に落としていくことで、悪の女幹部として立つ、その過程で自分がどういう人間なのかを認識していく姿を丹念に描いていたと思う。
顕著なのが、アズールが悪堕ちしそうになり解釈違いでブチキレなエピソード。ちょっと痛めつけたくらいで簡単に堕ちる魔法少女なんていらない。こんな醜く薄汚いワタシ程度の敵の手で心が揺らぐだなんてっ!恥を知りなさいっ!
主人公は、常に自分の妄想と願望の色メガネなフィルターを通した強く清廉で気高い心をもった理想的な魔法少女の姿をみているのであって、目の前にいるひとりの少女がさらけ出した人間的な生々しさを愛せない。独りよがり系厄介オタクのクソみたいなマインドの有り様がここにある。
アナタたちがホンモノの魔法少女なら、ワタシなんかにやられないでしょう?さあ、楽しませて。二次創作でしか描けなかったこの倒錯をアニメでやるのは、かなりみてらんなかったりする。ちょっと、わきまえて。
戦闘の面白さは、アニメよりマンガのほうが分かりやすかった。「爆弾を作り出す能力」と「物質を魔物にかえる能力」のふたりが協力し、誘導弾を作って爆撃みたいなコンボやってくるみたいな。バトルものとして、なかなかロジカル。
テレビアニメの作画としては平均的なカンジ。覇権アニメと比べちゃうとね…。このくらいの動く絵なら、原作にサクッと追いついといて視聴は後回しでいいか。マンガのほうが絵柄好みだったし。
主人公の名前が「ウテナ」なのは、かつての絶対運命黙示録レディたちに謝ったほうがいいし、その仲間の「あらがきうい」とかも大概にしてほしい。慎めよ。


※原作既刊まで読みましたけど、これホントどこまでを映像化できるって算段なんすかね?中盤らへんでハッキリとレズったりしてますけど…。ワクワクしちゃうな。