荒野のジャバザハット

T・Pぼんの荒野のジャバザハットのレビュー・感想・評価

T・Pぼん(2024年製作のアニメ)
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オープニングが最高にクールで1話目のエピソードがかなりハードコアな内容でタイムパトロールの生まれてなければセーフという余りにも非人道的な発言と冷酷な目にこれは凄いアニメと出会ったと無茶苦茶引き込まれたんだけど、、、

2話目でそこに関してはまさかのスルー。
いやいやいや、こいつらがどんだけ人命救助しようがあんな非人道的な措置を行う人間の活動、全くもって入ってこないんですけど。

明らかにおかしくないか?
1話目でぼん君はリームの怠慢さによって巻き込まれた被害者であるはずなのに、そんな彼を組織は"消す"という判断。
それになんの疑問も抱かず殺さないよ、消すんだから…って。
魔女狩りの集団ヒステリーを語る描写もあるけど、これこそ完全に集団ヒステリーというか、組織に洗脳されて歪んだ考えになってるとしか思えない。

藤子・F・不二雄の中でも傑作と言っている人はその辺のことは腑に落ちてるんだろうか。正直全くもって納得できないし、人命を扱う物語として致命的だと思う。最低とすら感じる。

そして今作は歴史に影響のない人のみを助けだすという物語だがそれって権威主義的考えにも感じでどうも乗れない。
勿論名もなき者を助けるという、やっている事自体は真逆なんだけど、大きな存在以外は生きてようが死んでようが、こちらの自由にできるという恐ろしい回答にも取れる。

ボン君が重要人物という事が分かりTPは"消す"事をやめる。その実態は彼というよりも彼の行う些細な行動がバタフライエフェクト的に影響するもので、いうなれば桶屋が儲かるシステム。
いや、この話がまかり通るなら誰も助けられなくね?命を救う事で子供を作り命のバトンを紡ぐ事もあるし、救わない事でその人が出会うべき人が別の人と出会いまた違う命が生まれる。
こんなの無限に可能性あるでしょ。
リームが木の実を食べるぼん君に説教するシーンがあるけど、あれがあることによってさらに不信感が募る。
TPがやってる事全部がそれですけど?

命を扱う事に客観的に見る事のできる藤子先生がこんなにもソリの合わない考えの作品を作ってたのが意外だし、今作をだいぶ気に入っているようで。。。かなり戸惑ってる。TPの考えは命をコントロールする非人道的組織としか思えなかった。

確かに今作のアニメーションとしてのクオリティも素晴らしいし、オープニングエンディング共に完成度が高くて引き込まれるのでそこは物凄くリスペクトしてるし、この物語の担う歴史冒険によるその時代の人々の生活に寄り添う作りはとても意義のある作品だとは思う。なにより普通に楽しいし。
ただやっぱり彼らの行動と考え方に納得する展開がない。

漫画なんだから目を瞑れという言葉もあるかもしれないが、今作は仮にも組織として動く人間の物語でしかも人命救助というメインテーマ自体揺るがす行為に目を瞑るのは土台無理がある。

原作は1話完結に割り切って作っているし多分テンポ感によってその辺の違和感はないんだろうけど、映像だと表現が一層増えるから嫌な感じが漂いやすいのもあるんだろうな。

まだ途中だが見るのをどうしようか凄く躊躇う。
最初の"消す"という考えに対するなんらかの回答があるのかないのか。