故ラチェットスタンク

スコット・ピルグリム テイクス・オフの故ラチェットスタンクのレビュー・感想・評価

3.7
『くだらねぇ。』

 オリキャスアッセンブルの熱さもそこそこに、広大なスコピルワールドを散策していくコンセプトがとにかく英断だ。初見でも充分作品の頓珍漢さを楽しめる作りにはなっているが、どちらかというと原作or映画版を観た人向けだと思う。基礎設定を知っているほど旨味が増す設計。Netflix独占配信なのもあって今作とセットで最低でも映画版はみんなが履修できちゃうズルいシステム。オマケに予習時間本編時間合わせてもアニメ1クール分とそれほど変わらない尺。

 正直"テイクス・オフ"周りの話運びは大概どうでも良かったが、突拍子無く飛び出すSF道具とか積雪満載の背景美術とかヘビーなロック音楽とか浪漫が詰まっててずっと見ていられる。「あの人物関係をこう使うのか」「こことここがこう繋がるか」「コイツならこう立ち回るのか」みたいなキャラクター・コンテンツとしてのアドバンテージの使い方もうまーい。それに合わせて各人物にケアを与えるストーリーにしたのもサイコー。何よりそれが豊かなアニメーション表現で語られるので体験として幸せだった。レンタルショップのくだりはイマジネーションの爆発のさせ方がズルすぎるでしょ。

 基盤の上で遊びまくる楽しさを久々に見られて幸せだった。謎設定で飛躍しまくる(ことで笑わせる)作りにしては正直20分×8話は長い、というかダレてくるがキャラクターへの愛で乗り切った。まあこれでも短い方だと思う。1クールとかあったら耐えられなかった。(飽き性)

ジュリー・パワーズが反則的に可愛い。ヒモにしてください。