原題は「キャロルと世界の終わり」。終末論的ブラックコメディとでも言うのだろうか。相当いかれたアニメ。
とある惑星が地球に衝突する(この詳細について劇中ではいっさい語られない)まで、あと7ヶ月。
モラルもルールも消えたアメリカを、シニカルにたんたんと地味〜に描いている。ことさらドラマティックな展開もないし、ヴァイオレンス描写もない。
スーパーマーケットは廃墟と化し、街なかには戦車が停まっている。人びとは仕事もせず、海外旅行や、スカイダイビングや、レイブパーティーや、ところ構わず乱交にあけくれている。
そうしたことに関心のない主人公キャロルは、オフィス街でただひとつ灯りのついたオフィスを見つける。そのオフィスでは、無数の人びとが日がなパソコンやファックスやコピー機を稼働させていた。
そこに潜りこんだキャロルは、やがて何をしているのか得体の知れない会社に通うことに魂の平安を覚えるようになる...という話。
とにかくインテリジェンスは高めだが、全体的に狂ったアニメ。しかし現代アメリカ人はけっこうリアルにこうした終末感を感じているのではないか。
じっさい、廃墟と化した街並みは、ロサンゼルスとかサンフランシスコのいまの郊外風景とさほど変わらない。