ガンギマリポテト

ハズビン・ホテルへようこそのガンギマリポテトのレビュー・感想・評価

ハズビン・ホテルへようこそ(2024年製作のアニメ)
-
もっとこう、“ゴスな『ホワイト・ロータス』”みたいなのをイメージしてたんだけど、思ってたのと違ったな...セラピーについての話じゃなくて、普通に紛争の話だった。

色んな罪とか後悔を抱えた人たちをエピソードごとに1話完結式でグループ・セラピーしていくことで地獄民の善性を証明して、そういう非暴力的な手段をもってキリスト教保守的価値観の集団による虐殺(今まさにガザで起きているようなこと)に立ち向かおうとする...みたいな話になるんだ、と思ってた。
けど主人公のチャーリー、最終話ではラジオデーモンにそそのかされて呆気なく「天使をブッ◯ろせ!」みたいなこと言っちゃうし、分かりやすく利用されてるし、結局武装蜂起になっちゃうしで、肩透かしを喰らわざるを得ない。結局は天国軍にとって虐殺を更に強める口実を作ってしまっただけで、事態は悪化したよね...?サーペンシャスが成仏したことだけが唯一の救い?

最終決戦前夜、ホテルのキャラクターたちが主人公がやったことは立派だ有難う、って励ますんだけど、シーズン通しても肝心のホテルの営業がいつまで経っても軌道に乗らないし、そもそも宿泊客がサーペンシャス以外に来ないし、ホテルのツアーみたいなのもないから建物自体に関心が湧かない。
チャーリーは天国の色んな人を説得しようと頑張るんだけど突っぱねられて落ち込む、以外に特に何も出来てない印象で...エピソード数、足りてなくない?チャーリーはコミュニティ・オーガナイジングやオープン・ダイアローグについて学ぶべきだと思う。

それぞれのキャラクターの設定が魅力的なのは伝わるんだけど、そこからキャラクターたちが交流して、関係や感情が変化して、人生が前進しました(死人だけど)
っていうのを納得出来る程度に見せてくれたのは第4話以外にはあんまりない。親子関係の修復もなんか呆気ないし。

結局はキャラクター萌えとか“性癖に刺さる“的な消費のされ方が先行し過ぎてて、キャラクター同士のドラマがあまり交通整理出来てないし進まないし、世界観のディティールも見せてくれない。
第1話で最高の“I wish ソング”をわざわざ歌い上げてくれただけに、最後まで何がしたい話なのかイマイチ分からなくて、何だかもったいない。