真田ピロシキ

ろんぐらいだぁす!の真田ピロシキのレビュー・感想・評価

ろんぐらいだぁす!(2016年製作のアニメ)
3.4
『ゆるキャン』から始まりいくつか見て、そのあまりのテンプレぶりに美少女アウトドアアニメなんてどうせ金太郎飴なんだろと思ってもう今後見る気はなかったが、自転車は自分もやってる趣味で共感するところも多そうなので例外的に見てみた。自転車と言ってもレースじゃないのがニーズにマッチしている。『弱虫ペダル』じゃその点でダメだったのだ。

インドア女子がアウトドアにハマるのは胸焼けしそうなほど食傷してるが、主人公らが女子高生ではなく女子大生というだけで些細な違いでしかないのに新鮮。所々胸や尻を強調した扇情的なアングルがあっても、その前に見た『放課後ていぼう日誌』に比べればキモオタ臭さは全然少なくて、ノイズは少なく見れる方。いや、チャイナドレスやメイド服はキツかったかも。可愛い女の子の爽やかな青春ストーリーを見たいというのは良いのだけれど、どうしてそこに男性の邪な欲望が充満した演出を入れて汚したがるのでしょう。実写の青春ドラマではこんなあからさまに気色の悪いことは普通しないので、そこがこのジャンルがイロモノから脱せない理由なんだと思うよ。しかし原作を試し読みしたら始まって3ページくらいでパンモロしてうえーってなったので、アニメはかなり上品になっている方。

主人公の亜美は何もないところで転ぶ運動音痴だったのに最後には何百キロも走れるようになって、未だ相当頑張れば1日に100キロくらいならが限界の自分よりずっとすごい。坂も大体は押さずに漕ぎ切る。それを今e-bikeの私は「大変じゃなガハハ!!」と北斗の拳の悪党みたいな気持ちで眺める。でもe-bikeはバッテリーが切れたら大変なのでやはり自力に越したことはなくてやっぱり偉い。全然自転車知識が増えない自分に対して亜美は色々学んでいって、妹のパンクを直してあげたり最後には同じ講義を受けている佐伯さんを仲間に引き入れたり成長が著しく、ああ見えて根性と好奇心が強いのもあるだろうが、最大の要因は親友の葵や大学の先輩 雛子、弥生、紗希ら自転車仲間が背中を押して支えてくれたことにあるのだと思う。強風に苦しむ亜美に他の4人が前を走って風避けになるシーンはそんな彼女らの関係性を如実に物語っている。自分にもそういう自転車仲間がいればもう少しガチ勢になってたかもしれんなあと羨ましい。ただソロにはソロの楽しさもあって、『ゆるキャン』みたくそこには踏み込まれてないのは詰めの甘さか尺の足らなさか。紗希は基本はソロ派らしいので主役のエピソードが1つあればまた違った印象を受けてた。

しかし色々好意的に感じ取れる点はあって良い話かと思います。でもこれも他の美少女アウトドアアニメと同じように「何も考えずに楽しめる良いアニメ」なんて感想がいっぱいあるんだろうなぁ…考えられる内容はちゃんとあるんだから考えて見てやってください!そういう感想は考えて作られた作品への侮辱だと思うよ。