イグアン52

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第2期のイグアン52のレビュー・感想・評価

4.5
きっと僕が鉄華団だったらどうしてただろう。
戦争があって今の日本があって、戦ってる国や人達は今もいて。
その上に成り立ってる命だったのかもしれないし、あまり巻き込まれずに生き延びれたのかもしれない。
どうだったのかを知るすべはもしかしたらあるのかもしれないけど、それを知ろうとする事は怖いから、出来ない。
けど、どうだったのかなとか、そんな事を考える機会になりました。
もし先祖達の戦いの中で拾い上げられた命だとするなら、それに見合うような命でいられているだろうか、今の自分の命の在り方が正しいのだろうかと自分を攻めたいような、もっと生きろと何かに攻め立てられるようで、重たい気持ちになりました。ぐるぐる考えて暗い気持ちになり、落ち込み、でもそれでも生きているしなって思う。そして、明日も生きていく。
些細なことで笑って怒って悲しくなって楽しい時もあって、「同じ」がない時間の流れの中でどこまでも自分として生きていくしかない。
生きることは軽やかであって欲しいと思う事もあるけど、その反対にはこんなにも深くて長くて重い繋がりがある事を立ち止まり考えてみる事が時には必要なのかもしれないと思いました。

大義に振り回されるギャラルホルンの戦士とただただ生き延びるため戦う鉄華団、どちらが価値ある生き方なのか、価値に意味ってあるのか。意味って、なんなのか。
マクギリスが選んだ純粋な強さ、彼が選ばなかった強さ。ガエリオが求めた強さはきっと同じだった。通じ合っていた筈なのに、見えない振りをするしかなかった。
あったかい場所が近くにあったと、もう持っていたと最後に気付けたのはマクギリスもオルガも三日月も一緒だったのに、マクギリスはどうしてこんなに悲しく映るんだろう。
あったかい場所にいたことをそうだったんだと認めるには紡ぐ事が必要で、人間には、それが出来る。手段を持ってる。
生命、そして、思い。そういったものを残そうとした2人と諦めてしまった1人。どうしようもない環境、時代、空気。その中で1人の人間に出来ることなんて本当にちっぽけで、だけどだからこそ思う事だけは決める、そこだけは自由。
重みを持って、だけど軽やかに。生きていく。生きていこう。
初めてのガンダム作品がこれで良かったです。
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