ウシュアイア

ログ・ホライズンのウシュアイアのレビュー・感想・評価

ログ・ホライズン(2013年製作のアニメ)
3.6
『ソードアートオンライン(SAO)』と並ぶ大規模多人数オンライン(Massively Multiplayer Online, MMO)RPGゲームの世界を舞台にしたシリーズもの。

後に<大災害>と呼ばれることになるある日突然、オンラインゲーム<エルダー・テイル>の数万人のプレイヤーが閉じ込められてしまう。現実世界に戻れる糸口が得られない状況で、エルダー・テイルの世界はアナーキーな世界となってしまう。そんな中、古参プレーヤーであるシロエは、ギルド<ログ・ホライズン>を設立し、有力ギルドとともに<円卓会議>を結成し、エルダー・テイルの世界に秩序を取り戻そうとする。


SAOシリーズの最初の世界・ソードアートオンラインの世界と同じくMMOの世界に閉じ込められる話だが、SAOとの違いは、
・プレイヤーは死亡しても、本拠地の大神殿で復活できる、死にたくても死ねない
・現実世界に戻れる方法が不明、ゲームクリアなどをすれば戻れるわけでもない
という2点に集約される。

そのため、プレイヤーの死亡が現実での死となるSAOとは違い、あまり緊迫感はないものの、苦しい状態に陥いるとゲームクリアはおろか死んでもゲームの世界から離脱できない。SAOの世界同様に強いプレーヤーによる弱いプレーヤーへの支配や搾取が横行するが、弱いプレーヤーにはキツい設定になっている。

また、現実世界に戻れる方法が不明なため、その方法探しの前段階もしくは戻れないかもしれないという可能性を視野に、秩序の構築をすることになる。SAOの世界はゲームマスターとシステムが機能しており、秩序維持は大変ではないものの、秩序の問題は同様に発生している。

人間の集団がアナーキーな状態に陥った場合、まず秩序の構築ということが優先すべきことであることを両作品は示唆している。

ただこの作品は1期25話を見る限り、戻れないのかもしれない、という可能性がプレーヤーの中でどの程度考慮されているか分からないものの、現実世界への回帰の追求がなおざりなっている感があり、話が進んでもストーリーの着地点が見えにくく、ダラダラと続いている感がある。(SAOはラスボス撃破、囚われのヒロインの救出というゴールが明確。)

また、主人公シロエは付与魔術師の作戦参謀タイプ(マンガ『封神演義』の太公望)で、ストーリーはゲームの世界の政治、経済の話に終始しており、プレイヤー成長物語ではミノリとトウヤという双子の子どもを中心とするパーティーに担わせている。ミノリとトウヤの物語からは、協力の大切さ、チームビルディングに必要なこととは何か、といったメッセージが感じられる。

その一方で、シロエやにゃん太班長の行動から浮かび上がってくるのは、人間の集団において大人、強いものが果たすべき役割とは何か、弱いものをどう守るか、というメッセージ性である。SAOに比べると、やや大人向けの内容になっている。

最期に忘れていたが、SAOとの最大の違いは、にゃん太班長(CV中田譲治)の存在だと思う。
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