天才的な頭脳をもつ二人の少年による連続爆弾テロ事件にまつわるミステリ。
ある程度ミステリに触れていると、犯行の手口や被害状況から二人の狙いが序盤から何となく見えてしまい、かなりベタなストーリー。ミステリ自体は余韻を残しつつ過不足なく解き明かされる。
ミステリには何といっても大事なものは事件当事者たちの心情。
ナインとツエルブの絆、リサとの関係、事件を追う刑事・柴崎との関わりが見どころだと思うが、全体的に温度低め。たまには薄味も悪くないが、柴崎が事件に迫るだけでなく、人間としての彼らの心情に迫っても良かったのではないか。子どもの犯罪の場合、刑事は事件を解き明かすだけではなく、大人として受け止めないといけない。例えば、『白夜行』の笹垣潤三のように。