ぼっちザうぉっちゃー

ローゼンメイデンのぼっちザうぉっちゃーのレビュー・感想・評価

ローゼンメイデン(2004年製作のアニメ)
3.9
小さな部屋から始まる小さな人形たちの大掛かりなゲームという生活圏内ファンタジーが印象的な良作だった。
そのタッグバトル制といい、どこか『金色のガッシュベル』に通ずるような懐かしい雰囲気もあった。なにより主人公が古き良き土曜夕方五時の髪型。
姉に関しては、ありがちなクワガタバングはまだしも、さらにポンパドウルを重ねるというなかなかの奇抜さ。それって両立するんやね。

バリバリの日本風屋敷の中、畳の上にアンティークドールがいたり、テイスト違いの様々な人形たちが普通の一軒家に居座っているだけでまず面白かった。それでいて名前が漢字表記通りの呼び名で和風なのがまたイケている。
それぞれのドールたちも、凛として上品な真紅cv沢城みゆきを中心として、庇護欲駆り立てられる雛苺に、性悪毒舌カントリー少女な翠星石、立ち塞がる黒く冷たい水銀燈など、ビジュアルもキャラも魅力的なものばかりだった。
全体の鮮やかな彩色とファンシーで毒々しい戦闘における動きの良さもかなり見応えあって、鏡を媒介として入る「nのフィールド」なる裏世界の表現なんかも、身近なファンタジーが感じられる心躍るものだった。

そして引きこもりの主人公の、部屋の窓や心の扉を開かせていくちょっとばかしの成長譚が根底にあるのも良かった。小さなドールのネジを巻き、ささやかな交流をし、その傷を繕うことで、自分自身(役立たずの傀儡)の内省と修正のステップを踏んでいくのが丁寧に描かれていた。
ラストは「生きることは戦うこと」という少々大仰な覚悟と真紅との絆によって自分に打ち克ち、魔術や魔法ではない確かな「人間力」を身に着けたということで、
心晴れやかな一歩前進が感じられる良いエンディングだった。