文鳥

ローゼンメイデンの文鳥のレビュー・感想・評価

ローゼンメイデン(2004年製作のアニメ)
4.5
むかし1話だけ観て、そのままだったのを今更ちゃんと見直した。
中学受験に失敗して不登校になってしまった中学2年生の男子が主人公で、そんな男の元に人形がやってくる。その人形は意思疎通ができてーーー
途中までは引きこもり少年がイマジナリーフレンド(ガール)と意思疎通をして自己補完するというエゴずぶ濡れのオナニーアニメかと思ったら最終話で涙腺をやられた。自分のことを駄目だと思い、自己保身のためネガティブなことしか信じることができない悲劇を背負っている主人公がそれでも他者と補完しあうことで生きていてもいいと思い直すというかなりナイーブなテーマの作品でした。みんな何かが欠けていて、それを私が埋めてあげるという愛のあり方に涙したし、最終話の真紅たちが去ってしまい、もう二度と会えないのかと思わせる場面での「人は心地の良いものを求めて、そこに永遠を望む。しかし人形なので自分の命が尽きない限りはその愛は朽ちない。しかし去ってしまうことを悲観するばかりではなく、忘れないという人間の装置的な部分による刹那に永遠を祈りのように賭ける」というメッセージ性の厚みに2000年代のアニメの屈強さを感じた。ただのロリドールとのイマジナリーオナニーでは済まさないのは、おそらくPEACHーPIT先生たちの手腕か。かなり良かった。
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