シズヲ

バッカーノ!のシズヲのレビュー・感想・評価

バッカーノ!(2007年製作のアニメ)
4.3
禁酒法時代末期の1930年代アメリカ、“不老不死をもたらす酒”と“不死者”を中心に回るならず者たちの馬鹿騒ぎ。原作者がガイ・リッチーのファンであることを意識したオープニング、映像も音楽もスタイリッシュでやはり最高。内容も『スナッチ』辺りを彷彿とさせる群像劇であり、入り乱れるアウトロー達の動向が思わぬ形で結びついていく内容が楽しい。マフィアの全盛期だった往年のアメリカを切り取ったビジュアルや雰囲気も印象深い。

複数の時間軸が同時進行する内容、冒頭で話のオチを描くという時系列の逆転など、群像劇であることを差し引いても初見では中々戸惑う。しかし登場人物達の行動や思惑が次々に絡まり合い、フラグを蓄積させながら物語が加速していく構成はやはり秀逸。序盤からじわじわとエンジンが掛かっていき、次第にどんどん内容に引き込まれていく。群像劇を彩るキャラクター達も強烈かつ個性的。「白いタキシードは返り血が目立ってカッコいいじゃん?」と言ってのける殺人鬼ラッド・ルッソが特に好き(故・藤原啓治さんの好演が最高)。時代背景にマッチしたジャズ調のBGMも絶妙に内容を盛り上げてくれる。

ただ、改めて原作を把握すると案外改変されてる箇所があるので良くも悪くもちょっぴり寂しい。アニメ中でも熱量的にそれほど重点を置かれていなかった1932年は特にその煽りを受けている印象。
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