あんへる

バッカーノ!のあんへるのレビュー・感想・評価

バッカーノ!(2007年製作のアニメ)
4.6
【2007年夏アニメ作品{全13話}】


『事件は1つ。だが物語はそれに関わった人間の数だけある。』


「デュラララ!!」シリーズで知られる成田良悟の同名ラノベが原作。

舞台は1930年代、禁酒法時代のニューヨーク。
“不死の酒”をめぐって、裏社会に生きる人々の運命が複雑に交錯していく。

まさに大饗宴と呼ぶに相応しい、ドラマチックでスリリングな傑作群像劇。

これ昔、バイト先で布教しまくってたなぁw


まず、OPが死ぬ程イカしてる。
「Gun's&Roses」
当時、なんてオシャレでカッコいいアニソンなんだ!?って腰抜かしてた。

ちなみにこのOP映像は、原作に影響を与えたガイ・リッチーの映画「Snatch」のオマージュでもある。

あと作詞・作曲を梶浦由記が手掛けたED曲「Calling」も良曲。


タランティーノの映画をアニメ化すると多分こんな感じになるんだろうな。って作風。
実際バイオレンス描写や陰鬱になるような表現に溢れているものの、軽快なジャズベースの音楽と、個性豊かなキャラクター達の軽妙洒脱な会話劇のお陰でアニメ的に巧く中和されていて、全体として観やすく仕上がっている。
特にアイザック&ミリアコンビの明るいキャラクター性は本作における最大の癒やし要素であり、何より重要な役割を担っている。

一方で時間軸が複雑にシャッフルされた物語の構成は一見難解で解りづらく見える。
ノーラン監督の「メメント」の様な作り。
多くの人物と場面・時間が複雑に絡み縺れ合って、最終的に一つの結末に至る。
確かに癖が強く、万人には勧め難い作品と言えるのかもしれないが、このストーリーをたったの1クールでテンポ良く纏め上げた制作側のディレクションは見事と言う他ない。

また登場人物が異様に多い作品でもある。
群像劇って言うくらいだから、ある程度多いのは当然ではあるけど、1クールアニメでここまでキャラクターで溢れている作品って他にあまり見たことがない。
その点、全ての人物の顔と名前を覚えるのは若干難儀ではあるが。
でもどのキャラクターも個性に満ちていて魅力的に描かれている。
岸田隆宏氏の良キャラデザの賜物だろう、実に素晴らしい。

キャストも今改めて見ると、とんでもなく豪華な顔触れだが、やはりラッド役の藤原啓治が特に光っていた。
本当にカッコいいし、痺れる。
これは別に本作に限ったことじゃないが、彼の出演作を観る度に、ただただ素晴らしい演者だったと感じる。
もうこの演技も感動も新たに体感することが出来ないと思うと、残念でならない。


2度3度観ても楽しめる、いやむしろこの作品の真骨頂は2周目以降にある。
取り敢えず最低限、全部観た後に第1話はもう一度観て欲しい。
ある程度のグロ耐性がある方には是非ともオススメしたい一作。

この作品の根底にあるテーマはきっと〈人生讃歌〉だと、自分はそう思ってる。


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[主題歌]

OP
Paradise Lunch(演奏)「Gun's&Roses」

ED
織田かおり「Calling」

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