面白いようで面白くないようで、微妙なラインを行く作品でした。
この作品の焦点は「自分で決めることの大事さ」なんだと思います。
でも、私にはその辺りが刺さりませんでした。
主人公は過去の戦争で全身を機械化した、顔が銃の男。
地域を支配する巨大企業によって改造された少年と共に、機械化人間の排除を標榜するテロ事件に巻き込まれていく物語です。
戦時中に13人のみ作られた全身機械人間の一人である主人公は、相棒がいないと最強な攻撃が使えません。
しかし、最初の相棒に失踪されて以来、主人公は相棒を作らない決意をしています。
細かい理由は物語で語られるので省きますが、そんな主人公は関わる人達にも「お前は道具かもしれないが、自分で自分を使うこともできる」「それは本当にお前のやりたいことか」と語ります。
そういった場面場面で、環境のせいにして自分の悪事を他人事のようにしているのではないか、誰かに言われて自分の望んでいないことをしていないか、という視聴者へのメッセージを感じます。
アニメはメッセージのない作品も沢山あるので、ちゃんと伝えたいことがあるのはそれだけで評価が上がります。
ただ、私にはそのメッセージが刺さりませんでした。
今の社会って自分以外に決められることは少ない気がするんですよね。
もちろん、親、家族、組織などに反対されて諦めることは、子供も大人もあるとは思います。
でも、昔に比べて選択肢自体が増えていますし、マイノリティであることを肯定する流れもできています。
学校や会社に通いながら、同時並行で学んだり働いたりもしやすい時代です。
だから、本作のメッセージをすんなりとは受け止められませんでした。
むしろ、今の私にとっては、多すぎる選択肢の中で何かを選んで、突き詰めないといけない難しさの方が重大な課題なのかもしれません。
という訳で、私には刺さらなかったのですが、
・何かをやらされている不満感がある方
・環境のせいにして自分や他者を傷つけることを正当化している方
には、勇気付けられたり、痛い所を突かれた気持ちになったりする作品かもしれません。
蛇足……
一応ハーレム作品っぽいのですが、キャラデザが可愛くないです。
近未来のスチームパンク?みたいな感じで、ぼてっとした青唇やそばかす女子みたいなキャラが出ます。
好きな人は好きなのかもしれません。
でも私には刺さりませんでした。
声優はハードボイルドな銃頭の十三を諏訪部さんが演じていてかなり良いです。
クレイジーな敵役の女の子を水瀬さんが演っているのですが、声優レーダーの性能が低すぎて釘宮さんかと思いました。
いつも水瀬さんの声は初見で気付けないのですが、幅が広く、作品にハマる演技をされるので好きです。
全身を機械化した主人公は、ハーレムを活かして生殖できるのでしょうか?
気になります。