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映像研には手を出すな!のikarushのレビュー・感想・評価

映像研には手を出すな!(2020年製作のアニメ)
4.8
最近見終わったわけじゃないけど、今年見たアニメシリーズの中でダントツだったのでレビュー。
手書き風のアニメーションを主体に、アニメを作りたい!ともがく3人(正確には2人)の、混じり気のない青春ドタバタ空想劇が素晴らしく、最終話まで一気見した。

過去「アニメを作るアニメ」として好評で、さらに映画化も果たしたP.A.WORKSの『SHIROBAKO』も素晴らしいし大好きなのだが、この『映像研には手を出すな!』との違いは、ハッキリその「想像性」にあると思う。

P.A.WORKSの『SHIROBAKO』はアニメ制作会社が舞台のストーリーで、1話1話を制作するタイトなスケジュールの中、外注の原画家の進捗管理や今後制作する話のロードマップ、演出や原作者との事細かな調整など、現代社会人が抱える時間と人間関係の難しさみたいなものがリアルテイストで描かれている。

それに対して当アニメ『映像研には手を出すな!』は、主人公で監督・演出・背景などをこなす浅草みどりの独りよがりな空想をそのままアニメ化したような。
別の言い方をすると、白いカンバスにみどりの頭の中で想像により生まれたイメージをそのまま投影したアニメ。
そんな自由気ままで想像ばかり空想だらけの世界が、現実の世界と地続きで演出されていて、このシーンまでがリアルでここから空想…みたいな線引きなく描かれているのが素晴らしい。

また浅草みどりの中学の頃からの友人で、利益追求とリソース管理を徹底しまくってる超現実主義の金森さやかが、先の『SHIROBAKO』で言うところのプロデューサー兼ディレクターのポジションをがっしりと固め、「空想だけのアニメじゃ生き残れない」というしごく真っ当なポリシーを貫き、ただ想像しただけのアニメーションに深く楔(くさび)を打つ事で、よりリアリティのある作品となっている。

同じく物語の1話目から2人と共にアニメーション制作に関わる、現役売れっ子モデルでキャラクターデザインとアニメーション担当の水崎ツバメも、ドタバタ青春劇に華を添えながらも流れに乗る様子が見てて微笑ましいし面白い。

そしてなにより最高にクールなのは、このアニメのオープニング主題歌だ。
YouTubeで(※)そのOPの一部を聞くことが出来るが、不思議な音楽と子気味よいラップ。そしてキャラクター3人の不思議な踊りなどなど、このアニメの世界観をOPで再現されていて、ずっとヘビロテしたいくらい好きだった(自分はアニメを見る際にOP/EDは1回見たら大抵飛ばすが、このアニメは全話でOPを見た)。

ちなみに邦画の実写ドラマの方は未視聴。
だけどアニメ同様に結構評価が高いので、近々見てみたいと思ってる。

※:https://youtu.be/wFmAG4t2uMc 【YouTube / TVアニメ「映像研には手を出すな!」OP動画】
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