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映像研には手を出すな!のDemoituのレビュー・感想・評価

映像研には手を出すな!(2020年製作のアニメ)
3.2
ものづくり、アニメ制作について知らない部分やそんな事が起こってるんだと言う事をフランクに知れる作品であり、女子校生(?)の高校時代を制作に捧げると言う青春劇でもある。

主人公たちが立ち上げる映像研が物語の主軸になる。
映像研は浅草、金森、水崎の3人からなり、それぞれ制作におけるやりたい事=役回りが異なる。

作品の主人公となるのが(一応)浅草、彼女は持ち前の好奇心で常に冒険をしたいと思っていて、自分の住む団地や学校、街などどこでもすぐさま妄想の世界に入り込む。その持ち前の好奇心から世界観設定班を土台として物語の主軸、演出などの制作総指揮的なジブリでいう宮崎駿的役回りとなる言わばディレクター。
金森は現実主義(と言うわけでも無さそうだが)的な斜に構えた様に見えて割と堅実な思考と物怖じしない性格、そして何よりごく稀に垣間見える製作陣(浅草・水崎)へのリスペクトから、ジブリでいう鈴木敏夫のプロデューサー的役回りを。
水崎は類い稀なる観察眼で「人の動き」という部分をリアルに再現・描写する特化型のクリエイターであり、兼カリスマ読者モデルというインフルエンサー。

彼女たち3人が、目の前に置かれた課題・締切・やりたい事の三つ巴の中でその時の最大限できる事を模索してなんとかやりきり(作品を作り)、できたものに対して達成感はありながらもでも改善的がたくさん見えていて、それらを次のタイミングで昇華させながら、また見えてくる課題に対して正面からぶつかりできる最大限を叩き出そうと努力する。という物語構成。

現実と虚構(妄想)の入り混じりの表現は明快で気持ち良く、イメージボードが少し動きながら浅草の創造を表現していく部分はアニメーションならではで、尚且つ作品愛を感じる表現でした。
アニメの中でアニメを作る話なのでどうしたってこの作品自体が比較対象になってしまうが、それ故に同じアニメとは思えない位様々な表現や画面構成が見えてくるのは題材自体がトリガーになっているのかなと思うと成功していると思う。

女子高生×青春で色恋沙汰なんてこれっぽっちもないが、モノ作りに関わる人間には共感できる部分が多く、また、そうで無い人に対しては目を凝らさないと見えないこだわりの影や、その完成品の下にこれだけのなにかの残骸があると言う事を改めて教えてくれる良作。

1クールと言う中での構成的には後半少しだれてしまった(というか時間足りなかったかな)という印象こそあるが、12話あっという間に観てしまえた位には面白かった。
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