Jun

プラスティック・メモリーズのJunのレビュー・感想・評価

プラスティック・メモリーズ(2015年製作のアニメ)
2.8
描きたい物語が先行していて、付随する設定が詰め切れていない印象を覚えた。SFではなくヒューマンドラマとして観るべき等と指摘されようものなら、それならば何故SFを下敷きにしたのか甚だ疑問である。ギフティアと呼ばれるアンドロイドを主軸とした世界観を構築すべき情報が圧倒的に不足しているので、終始違和感が付き纏い作品に入り込めない。とりわけ設定に対する必然性、また作品内での倫理観の統一性の無さは致命的と言え、主人公たちが生活する範囲内、仕事の行動圏内でしか物語の動きが感じ取れないのでフィクションにおけるリアリティが欠如している。物語を構成するパーツの相互作用も整合性が取れていないように思えた。

円環の輪を意識しての装置であろう観覧車や花火も、繋げ方によっては美しさが心に響いたシーンに違いない。ふとしたカットや細やかな演出に目を見張る瞬間があるだけに残念でならない。繊細な心の機微に寄り添った音楽は文句の付けようがなく、断片的には主題歌を通じて詩的な美しさも感じられる。OP映像の最後の表情が話数を重ねて変化していくのも面白い試みだ。
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