たも

ちはやふるのたものネタバレレビュー・内容・結末

ちはやふる(2011年製作のアニメ)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

 ラブコメが基本的に苦手な身からしてみると、少女漫画チックな絵やら、概要を読んだ感じ三角関係の色恋やら、食わず嫌いで見るのを先延ばしにしていたけど、先入観無しでさっさと手をつけるべきだった。

 まず最初に恋愛とか友情青春も見応えのある要素の一つだと思うけど、やはり主題であるかるたに目を向けたい。
 かるたの競技性を一切理解してないし正直なところ舐めていた入り口だったけど、この作品は丁重に何が大切か教えてくれるし、どんな選手がいて、どんな戦法があって、かるたのいろはを上辺を撫でるだけではなく隅々まで教えてくれている感じが心地よかった。しかも誰の視点から見ても感情を読み取れるし納得のいく素晴らしい出来栄え。さらにさらに句の奥ゆかしさまで教えてくれる。句によって情景が異なる、かるたに色がついて見える、音の先を読む感の良さの話とか興味深いことまでも惜しげもなく披露してくれる。
 1話から25話まで一切退屈せずに完走できた。2期3期と同じボリュームがあるのを考えても期待せずにはいられない。

 キャラ良し、ストーリー良し、テンポ良し、面白い作品に必要なものを全て兼ね備えていると言っても過言ではないほど面白かった。

 かるた好きになってくれるといいね、とかもっと上手くなって悔いを残したくないとか、チームで感情を共有したいとか、気持ちがどこまでも真っ直ぐで太陽みたいに暖かくてキラキラしてて、キャラクターに嫌味もなくて、ここ数年見てきた作品の中でも群を抜いて好きな作品になった。まだ一期しかみてないのにも関わらず。ほんとに凄いことだと思う。

 部活に人が集まるか否かって終わり方だったけど、個人的にこの作品を見始めるのもなかなかにハードルが高かったからかるたって舐められがちなんだなって思ったし、よくよく考えれば物語の序盤でもかるたのオタクっぽさを自虐でいじってるのも好感が持てる。一度限りの登場だったお父さんがファイルを作ってくれてるところはこっちまで嬉しくなったし、「へーかるたって結構いいじゃん」って感情も見てる側と作品の見せ方がリンクしていってのめり込むまでの導入も上手かった。

 細かいところで言うと主要キャラを引き立てるモブの名もないキャラ達の視点が秀逸で悪く言えばうっとおしいくらい「え、あの子ってあんな感じなんだ〜」みたいのが多分毎話の如く登場する。印象操作が巧みでミスリードを誘って話の展開の裏を突いてくる感じが上手い気がする。作者の方はかるたに精通してるだけあって駆け引き上手なのかもしれない。ギャグセンスもある。羨ましい。

 余談だけどこの作品を見ていると四月は君の嘘を連想した。作者の性別が入れ替わって、主人公の性別も入れ替わった感じ。男が女2人から好かれる、女が男2人から好かれるって構図の共通点と、前園かおりとちはやの属性が似てる気がするのと、メガネの天才男主人公。あとはかませ犬の幼馴染みたいな、かわいそうなポジション。ちょっと闇をもってるとこも共通してる。これってもしかして恋愛系の作品のテンプレなのか?
 
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