次郎

ARIA The ANIMATIONの次郎のレビュー・感想・評価

ARIA The ANIMATION(2005年製作のアニメ)
4.6
ここ2ヶ月ほどボロボロだった時期に出会えた、極上の未来型ヒーリングアニメ。水の惑星の観光都市、ネオ・ヴェネツィアを舞台に一人前の観光案内人を目指す少女たちの話なのだけど、とにかく仕事や日常のストレスでささくれた心身に染みていく。どこまでも綺麗な世界観と登場人物、優しい言葉の数々はそれだけで大切な宝物となること間違いなしで、有名声優が本作に触れて声優を目指すことになったエピソードも納得。あの吉田玲子が半数近くの脚本を務めていたのも何気に驚き。

とはいえ、何より特筆すべきは圧倒的な音楽の良さ。穏やかな3拍子のOP曲『ウンディーネ』が流れながらストーリーが進む演出やED曲『Rainbow』の牧歌的で心穏やかな旋律も多幸感に溢れているが、Choro Clubが手がけた楽曲の数々が本当に素晴らしい。泣き出してしまいそうに幸福な本作の世界観は、この音楽無しでは間違いなく成立しなかっただろう。ボサノバやサンバといったブラジル音楽を基調としながらも、不思議とベネツィアの風景にも似合う最高のリラックス・ミュージック。時に郷愁を漂わせ、時に細道に迷い込んだような、暖かくも心躍る旋律はたまらなく心地良く、アコースティックな音色はひたすらに優しい。毎回冒頭に流れる「ゴンドラの夢」のイントロが流れ出した瞬間に溢れるマジカルな感情は、視聴した誰もが体験したはず。今まで全然知らなかったけど、ちょっとこれは一生ものの作品に出逢ってしまったかも。
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