いろどり

帝銀事件・大量殺人獄中32年の死刑囚のいろどりのレビュー・感想・評価

3.5
名前だけは聞いたことある帝銀事件について詳しく知ることができた。
U-NEXTの邦画のところにあったので映画だと思っていたら、フィルマになくて、よくよく調べてみたらこれ、ドラマだったみたい。事件をもとにした松本清張の小説のドラマ化、新藤兼人脚本。

前半は事件を忠実に再現。犯人の顔を映さないところが怖さを引き立たせていてリアリティーがあった。ここが一番の見どころ。

その後は田中邦衛演じる刑事が犯人を追って、後半は取調室と裁判。ナレーションの詳細な説明が、徹底検証の再現実録ドラマのよう。

使用された毒物は通常では手に入らないもので、細菌兵器開発のためハルビンで人体実験を行ったとされる731部隊に犯人がいると目論むけど、細菌兵器を今後に生かすためアメリカが731部隊を戦犯にせず手厚く保護、捜査に圧力をかけ打ちきりにしたそう。アメリカ占領時の深い闇を見た。これほぼ実話なんですね。

アリバイがないのに逮捕。仲谷昇の飄々とした様子が犯人にも、冤罪にも見える。

「ネタは上がってるんだー吐け吐けー!!」
まるで漫画のような展開。


この事件そのものが興味深く、色々調べてみた。

犯人(容疑者)は獄死。
遺族による再審請求は今も続いていた。

冤罪の可能性のある事件は多く、国家権力を感じざるを得ない。

毒物、多人数の犠牲、冤罪の可能性で和歌山カレー事件を彷彿とさせる。こちらもきっと、死刑は執行されない気がする。

731舞台の闇、GHQの闇、昭和の政治、警察の闇の深い事件を知ることができた。昭和の事件だけど、令和の今も、司法の闇はまだまだ深いですね。
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