うにたべたい

ウルトラマンAのうにたべたいのレビュー・感想・評価

ウルトラマンA(1972年製作のドラマ)
4.4
昭和2期ウルトラシリーズ2作目。
主役の人間ドラマを中心に据えていましたが基本は初代ウルトラマンの設定を崩さなかった新マンと違い、エースでは多くの実験が取り入れられました。
最も有名なのは、北斗星司と南夕子、二人の合体による変身であり、主題歌でも「北斗と南」と歌われています。
また、敵組織として異次元人ヤプールが設定され、異次元に住む生命体が怪獣より強力な超獣を操り地球に送り込んで、地球を我が手にしようと目論んでいます。
それをウルトラ5番目の兄弟「ウルトラマンA(エース)」が阻止するという物語展開となっています。

超獣ベロクロンが現れ街を破壊し始める。
街でパン屋のトラック運転手をしていた北斗星司と、看護師・南夕子は、ベロクロンから子どもたちを守ろうとして命を落としてしまう。
宇宙から地球を守るためにやってきたウルトラマンAは、二人に自らの命を与え、ウルトラリングを授ける。
地球防衛軍に代わって結成された超獣攻撃隊・TACに入隊した二人は、ウルトラリングが光るときウルトラマンAに変身して地球を守るために戦う、というストーリーです。

住んでいた街が怪獣に襲われ、人々が逃げ惑う中、自分の命よりも他者の命を救うために行動していた二人が出会って秘密を共有する仲になります。
そんなわけなので、視聴前は甘酸っぱい展開があるのかなと思っていました。
合体変身というのもなにやら意味深な響きがして、ドキドキしながら視聴を始めたのですが、結局二人の関係はよくわからないまま終わります。
一応、お互いをファーストネームで呼び合っていて、信頼しあっているような雰囲気があるときもあるのですが、恋仲というよりも、最後まで戦いのパートナーという感じなんですよね。
それどころか、途中で南夕子が実は月星人だったという、伏線無しの急展開が入り、南夕子が月に帰ってしまうという驚きの展開があります。
その理由は"合体変身をストーリーに含ませるのがライター泣かせだったため" などと言われたりしますが、新機軸を引き下げて開始した割には、それらの設定は活かしきれなかった気がします。
敵組織である異次元人ヤプールも途中で倒されてしまい、ヤプール不在の中で"超獣"という存在も意味が曖昧になってきた感じがありました。

おもちゃ化されていない超獣が多いため、ほとんどの超獣がそれほど知名度も高くないです。
第一話のベロクロンや、ヤプール人との決戦で戦った巨大ヤプール、デザインが秀逸なバキシムさんや、ウルトラ5兄弟が窮地に陥ったエースキラー、ウルトラの父も圧倒したヒッポリト星人あたりが著名な超獣です。
ただ、個人的には後半のストーリーが、超獣は地味ですが話として面白く、夢に出てきたドリームギラスや獅子舞で遊んでいた少年が変身してしまったシシゴラン、二代目ウーの悲しい父と子のストーリー、あと、ヤプール人の陰謀が再び繰り広げられる最終話のジャンボキング回も面白かったです。
振り返れば、やはりエースも名作揃いですね。

なお、主題歌には「銀河連邦はるかに越えて」という歌詞があるのですが、この"銀河連邦"とは、円谷プロの特撮で共通の裏設定だそうです。
ファイヤーマンやジャンボーグなどと共闘する構想があったそうで、その設定は次回作、ウルトラマンタロウにも引き継がれる形になっています。