うにたべたい

ウルトラマンタロウのうにたべたいのレビュー・感想・評価

ウルトラマンタロウ(1973年製作のドラマ)
4.4
ウルトラマン No.6!
昭和2期ウルトラシリーズではウルトラマンAに続く3作目のウルトラマン作品です。
初代マン、セブン、ジャック、エースと、続いて非常に日本的な"タロウ"という特徴的な名前を持っていますが、そこにはそれまでのウルトラマンと違って、ウルトラマン自体の神秘性を下げ、親しみを持たせる意味があるそうです。
その名の通り、タロウではゾフィーを長兄としたウルトラ6兄弟設定や、タイトルにも歌われた"ウルトラの父"、"ウルトラの母"というファミリーを意識した設定が盛り込まれています。
また、宇宙科学警備隊ZATメンバーも過去の特捜隊に比較するとユーモラスです。
ストーリーも子供向けでコミカルな展開が多く、そこが旧作ファンに受け入れられない一方で、タロウが最も面白かったという声もあり、賛否ある作品だと思います。

主人公の東光太郎の登場も特徴的です。
世界漫遊からタンカー船で帰還した光太郎は、海の上でお世話になった船長に別れを告げると、海に飛び込んで泳いで日本に帰り着きます。
貴重なチグリスフラワーの球根を持ち込んだ光太郎は、その大事な球根を港の適当な土場に植えてしまいます。
そこに超獣・オイルドリンカーが登場、ZATがこの怪獣退治にあたりますが、その時に取った勇気ある行動を見込まれて、ZATに入隊します。
ZATに入隊した光太郎は、早速、オイルドリンカー退治の任につくのですが、光太郎が植えた球根を媒介として、怪獣・アストロモンスが登場、オイルドリンカーをひと飲みにしてしまう。
強力な怪獣・アストロモンスの猛襲に死線を彷徨う光太郎のもとにウルトラの母が降り立ち、光太郎はタロウと合体、以降、ウルトラマンタロウに変身して怪獣と戦い続けます。

ウルトラファミリーという人間的な設定が盛り込まれてますが、タロウが、例えばタロウの姿で人と会話したり、光太郎がタロウであることを明らかにして人々とウルトラマンの仲立をするような展開はなく、ウルトラファミリー設定は正直なところぼやけていると感じました。
ただ、ウルトラファミリーは、後のウルトラシリーズにも共通の設定になっており、タロウではウルトラキングや、過去に起きたウルトラ大戦争についても触れられているので、シリーズとして重要なポジションの作品だと思います。
ウルトラ兄弟も微妙な設定でしたが、過去シリーズのウルトラマンたちが客演する回があるんです。
その時、"人間の姿"ということで、ハヤタ、ダン、郷、北斗が、役者も同じ方で勢ぞろいするすごい回があります。
仮面ライダーでも役者まで揃えて客演する回がありましたが、今ではなかなかできないですよね。

タロウの怪獣もエース同様、あまり知名度が高くないです。
第一話のアストロモンス、ストーリーとしては総集編に近いタイラントや、タロウを助けに来たゾフィーも倒してしまった強敵バードン、前述のウルトラ兄弟勢ぞろい回のテンペラー星人あたりが有名な怪獣です。
また、タロウといえば子供向けのコミカルな怪獣が多数登場するのも特徴で、親子の怪獣パンドラや、子供に育てられて大きくなったモットクレロン、宇宙から地球に遊びに来たピッコロ、お酒が大好きな酔っぱらい怪獣ベロン回なんかも、タロウらしい名作回でした。
賛否ある作品ですが、個人的には明るい雰囲気でスッキリした気持ちで観られる、素晴らしいウルトラマンでした。