《アクション良い！ストーリーとヴィジュアルは…》
【ここ良かった】
戦闘シーンのコレオグラフィーがカッコいい。躍動感・疾走感ある演出が最高。VFXはアクションとの効果的な融合が所々で見られ、けっこう興奮した。ただ、もっとじっくりバトルを見たかったのも本音。原作のウリである心理戦要素は完全排除されていた。
【薄い】
期待してた訳じゃないけど、全5話は短すぎる。なのに(巻数で言うと)原作の中盤ぐらいまでを詰め込んでるので、かなりの高速ダイジェストになってしまい内容が薄い。登場人物のドラマや背景・設定・説明の大部分をオミットしながらの駆け足。初めて見る人は、キャラクターや世界観を好きになる前に終わってしまうかも。で、疑問も湧いてくると思う。
痛いのは、それぞれの関係性にまつわるドラマを積み重ねてないのに、＂情＂＂絆＂がカギになるシーンがいくつかあること。結果、熱いセリフが薄っぺらいものに。最後の飛影のセリフもカタルシス不足。
予算の関係で短い話数なんだとは思うけど、そしたらもっとキャラクターのセットアップを中心とした脚色をして、次のシーズンの舞台作りに徹しても良かったんじゃないかなぁと思う。
【なによりビジュアル…】
実写版「ワンピース」同様に原作に寄せた色鮮やかな衣装とウィッグ。ただ今作はワンピースとは違って、現実世界が舞台なのでかなり浮きまくっている。メインキャラと一般市民役とのヴィジュアルのギャップが大きいので、もう少し色のトーンを落として欲しかった。コスプレにしか見えなくて安っぽい。
【キャスティング】
キャストの半分は賞賛、半分は見てられないっていう極端な感じ。幽助、飛影、戸愚呂兄弟、幻界、左京、コエンマ、良かった。モノマネにならない程度にアニメ版の声優の演技を取り入れている役者もいて、嬉しい驚き。予想に反して綾野剛が好演。稲垣吾郎は映るたびに雰囲気を締めてくれて良かった。残りの半分に関してはキャスティングとディレクションミスなのかな…。あとキャリアの浅さの問題もあると思う。あんなウィッグつけられて、アニメ口調のセリフを渡され、しかもこれは現実世界ですって言われたらベテランだって困惑すると思う。
【総括】
凝ったアクションや一部の好演している役者など良い点も見つけられたが、全体的に残念な印象。カバーしたい原作の範囲に反して短すぎるエピソード数が最大のネック。要点のチェックポイントだけ通過していくような内容なので、連続ドラマ作品としての物語の魅力度・完成度は低い。アクションのカッコ良さがありながらも、不足している人物描写や不完全なドラマ性、滑稽なヴィジュアルが合わさって全体的に＂寒さ＂も感じる。VFXを除けば、(失礼ながら)コスプレ感も相まって素人がネットにあげたような作品に近しいものを感じてしまった。
