てつこてつ

死との約束のてつこてつのレビュー・感想・評価

死との約束(2021年製作のドラマ)
3.5
原作はアガサ・クリスティで小学生の時に既読。ハリウッド版も鑑賞済み。

フジテレビが製作する野村萬斎が探偵役のこのシリーズは好きだが、やはり前編・後編の二部構成で製作された「オリエント急行殺人事件」が一番出来がいいかなあ。

それでも、本作も、原作の舞台である中東の砂漠から目にも鮮やかな緑深い熊野古道に舞台を移し、ハリウッド版ではローレン・バコールが演じたキャラクターを鈴木京香にかなり若返らせ、野村萬斎演じる探偵と実は面識があったという大胆な換骨奪胎ぶりは見事だと思う。

ただ、いかんせん、原作自体がクリスティ物にしては地味なので、どうしてもドラマ版も「オリエント急行殺人事件」なんかと比べてしまうと少し物足りない。

松坂慶子も、本来は物凄く演技が上手な女優さんなのに、本作ではややオーバーアクトなのが少々気になる。

それでも、鈴木京香の美しさはやはりとても印象に残るし、市原隼人、山本耕史、シルビア・グラブ、芸人の坪倉由幸ら共演陣は好演。

また、熊野大社のロケーションであったり、登場人物たちが宿泊する、実際に静岡?辺りに存在するクラシックな雰囲気満載のホテルであったり、昭和モダニズムを感じる鮮やかなコスチュームも実に印象的。

ハリウッド映画版では違和感を覚えた、失った母の存在を悲しむ娘の姿えをちゃんと描いたのもリアルでいい。
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