実力があっても評価されない学歴社会の闇、やりがいを搾取され使い捨てされるインターン、それを暴く立場にあるはずのジャーナリズムが加害者であるというねじれ、格差社会の醜さ…かなり深刻なテーマを扱い、答の出ない問題に切り込んだ骨太なドラマ。
物語を紡ぐのは、傷つき、諦め、後悔しまくりの迷える中年記者たち。同じ中年としてかなり揺さぶられる。
どれだけ台詞を費やそうと、どれだけシーンを重ねようと、伝えきれない複雑な思いを表情ひとつでわからせてしまうファン・ジョンミンに震える。そこいらの韓国ドラマの主人公とは格が違うとしか言いようがない。しかもそれほどすごい演技をしておきながら、共演者を誰一人食わないという俳優としてのマナーにも恐れ入る。映画館でなく、テレビモニターでこれだけのクオリティの作品を観られることに興奮せずにいられようか。
時々情に訴えて泣かせにくるけど、それは甘んじて受け入れよう。とりあえず五話までは文句なしだ。
しかし、中盤、イ・ジスの誤解が解け、成長期に入ると、あれほど社会派ドラマとして放っていた輝きがくすみ始め、よくあるミステリードラマに。
さらに後半は、スヨンの死の意味を解き明かさんとする意思こそ変わらないが、半ば強引ともいえるジュンヒョクの転身。パク社長の思惑やナ局長の目論見が明らかになる。
確かに核心に迫るために悪の側に足を踏み入れる姿はカッコいいが(黒いタートルネックにコートというシャープなファッション!)、そのキャラの違いに違和感を感じてしまう。ファン・ジョンミンだから見てられるんだけどね。
仲間の戸惑い、バレそうでバレないギリギリの攻防とか、それなりに見応えはあるけど、当初のあの切なさ全開の中年の悲哀がすっかりなくなってしまった。
一応スカッとはするけど、悪を成敗してめでたしってのがフツー。ミセンのようなはらわたを抉られるような凄みに期待したんだけどなあ。ファン・ジョンミンをキャスティングしながらこのレベルで着地したのは残念。