サンタフェ

キャシアン・アンドーのサンタフェのレビュー・感想・評価

キャシアン・アンドー(2022年製作のドラマ)
4.1
SWの海外ドラマという形式への落とし込みがすごい。

まずこの作品の観る前の印象は「SWにしてはあんま観られてないけどドラマ界隈で評価がとても高い」というものでした。

IMDbのレビュー数もFilmarksのレビュー数も同年のオビワン、またマンダロリアンやボバフェットに比べても少なく、あまり流行っていないようです。ただ、周りのドラマ勢は軒並み絶賛していて、本国メディアにも評価が高いそうです。どんな作品か気になる…!

ということで観てみました。

めちゃくちゃ海外ドラマだ〜〜〜!懐かしいほどに海外ドラマ。そりゃドラマ界隈から絶賛されるわ〜という作品でした。ちなみにSWはEP1-7、ローグワンは視聴済み、ドラマシリーズは本作が初です。

ローグワンでも既に思いましたが、このアンドーシリーズはめちゃくちゃ海外ドラマっぽいですよね。まず主人公がわりと地味で、コメディはかなり少なく永遠にシリアス。そしてひたすら悲劇に向かっていく道筋。また、ドラマでは顕著ですがフォースや宇宙人系メインキャラがおらず、戦闘力方面ではかなりファンタジー要素がナーフされています。というかSF的舞台設定以外はぶっちゃけほぼ現実ですよね。

この辺りがめちゃくちゃ海外ドラマっぽくて、いわゆる大人向けであるとともに少し意地悪な言い方をすれば子ども向けっぽい舐められファンタジー要素がひたすら削られてるので、ドラマ民にウケるのがよくわかります。展開も劇的に勝利して終わり!みたいな感じではなく基本的に途中ちょこちょこ任務は成功しつつも状況はひたすら悪くなってますからね。

政治パートメインなのもドラマ形式と相性がよく、毎週アクション的見せ場があるとかではないので予算にも優しい。近年はAmazonやAppleTV+というバケモノ資本が本格参入してから毎エピソード文字通り映画みたいなアクションをやるドラマシリーズが増えてきましたが、本作は喋り回はひたすら喋ってる古き良き2010年代のドラマって感じでした。

このあたりの作風がなんというかものすごくゲースロくらいの時代の海外ドラマって感じで、とても馴染みが凄かったです。ドラマ民は大好物でしょうからドラマ民に評価がめちゃくちゃ高いのは納得ですし、一方で普通にSW観たい層からは引きがあんまないというかかなり地味なので視聴者数という意味ではバズってないんだなと納得しました。

さて内容はというと徐々に革命の気運が高まっていく雰囲気がとてもおもしろくて、とりわけ脱獄回はとても面白かったです!!!

一方で、あんまこういう見方はよくないと思うんですが、SWって特にEP4-6は典型的な少数の主人公たちがスーパーパワーで世界を救う物語なので、本作の色々な人が色々な形で帝国を滅ぼそうと画策してるけど、結局は最強ルークが解決するんだよな〜となりシュールでした。子どもの頃に観たからかもしれないですが、なんかSWってあんまり集団戦の印象がないというか、ロードオブザリングとかみたいにたくさんの人の数々の行動が最終的に大きな出来事に繋がった…みたいな印象ないんですよね。ルークやアナキンのフォースが無双すぎる印象が強くて…。EP4-6にしろEP1-3にしろ、どちらかというとジャンプ作品みたいな最強主人公による救世主型物語ですよね(EP8-9は観てませんすみません)。

ローグワンはドラゴンボールでいうバーダック的な熱さはありましたが、まぁでもあのデータなくてもルークはなにかしら無敵のフォースで最終的にやっつけてたでしょうみたいになっちゃうわけです。

上記のような全体的な雰囲気に加えて、映像もそこまでめちゃくちゃ綺麗!というわけではなかったので(特に暗い場面がフィルムグレインで異常に観にくいのが終始気になりました)、かなりの出来の良さは感じつつも5年くらい前の評価高かったドラマを観ている気分でした。もうちょいなんかこう新しさがほしかったです。

ただ本当に久々にSWに触れて、SWというコンテンツに対する信頼というか信用がかなり復活したので続けてマンダロリアンも観てみようと思います!
サンタフェ

サンタフェ