キャシアン・アンドーのうらぬすのネタバレレビュー・内容・結末

まだ観ていないドラマもアニメも沢山あるけど、今までに観たスター・ウォーズ関連作品の中で間違いなくいちばん面白かった。
全体的に物語の展開は遅めだが、その分群像劇のような形で様々な立場の様々な人物の信念や葛藤をじっくりと描写できていて、濃密なドラマを楽しめた。メインの登場人物には完全な聖人も悪人もおらず、たとえばモン・モスマは反乱のための資金集めを目的に血の繋がった自身の娘を実質的な人身御供としているし、一応メインヴィランっぽい扱いのデドラ・ミーロはおそらく女性であるがゆえに帝国保安局内で同僚からの妨害を受けるなどリアルな苦労が伺える。そもそも主人公キャシアン・アンドーからして、第一話でいきなり殺人を犯している訳だし。
スター・ウォーズの世界の根幹を成していると言っても良いフォースが光と闇＝善と悪の二元論に囚われている中で、その境界線を曖昧にして人間の性質の微妙な陰影を精緻に描き出すというのは、もはや単なるスペースオペラの域を大きく超え、一流の娯楽作品として威風堂々たる有様。そのうえ、何度かちゃんとスペクタクルな場面も訪れるから、消化不良の感も全くない。
来年配信と噂されているシーズン2がとにかく楽しみ。