hi

キャシアン・アンドーのhiのレビュー・感想・評価

キャシアン・アンドー(2022年製作のドラマ)
4.0
スターウォーズでまさかこんな最悪の社会構造を追体験できるとは思わなかった。
絶対的な権力である帝国が甘い汁を吸うために、様々な立場の人々を苦しめる様が生々しく描かれる。

しかも、本作では帝国側で“正義”のために“真面目に”働く側も描かれるから末恐ろしい。任務を遂行する優秀なシリルカーンやデドラミーロというキャラクターを用いた帝国の描き方は秀逸だ。

生まれながらのスパイであるキャシアン・アンドー。「ローグワン」で勇敢に命を散らした彼が、過酷な幼少期を経て、仲間に囲まれながら器用に飄々と生きてきたことがわかる。育ての母や友のドロイドなどへ向ける態度から、彼が非常に愛情深い人物であることも。キャシアン・アンドーというキャラクターが、どのようにして新たなる希望を繋ぐリレーに参加するようになったのか、理解できた気がする。

本作は良い意味で、スターウォーズらしくない。ひたすらにシリアスでノワールな雰囲気なのだ。中には心躍るシーンもあるものの、基本的には誰もが絶望の中で必死に生きている状況である。
本作で描かれる帝国への反乱の芽はまだ小さい。小さいながらも、多くの大義を抱いた命を犠牲にしながらその芽を辛うじて守っている。
反乱分子もかつかつで、仲間を切り捨てるシビアな選択を取らねばならない場合も多い。ステラン・スカルスガルド演じるルーセンが、ときに仲間に対しても冷酷さを見せる場面があるのが印象的であった。
また、コルサントのモン・モスマのパートも見応えがある。仕事では政敵に振り回され、家では保守的な家族と衝突しながらも、彼女にしかできない方法で必死に戦っている。
監獄編のアンディ・サーキス演じるロイもすごく良かった。彼の行く末は今後語られるのだろうか。

シーズン2では、どうやら「ローグワン」の直前まで描かれるらしい。キャシアンを始め、帝国と戦う人々の群像劇が、どのような結末を迎えるのか非常に楽しみである。
hi

hi