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リトル・ドリットのtaruponのレビュー・感想・評価

リトル・ドリット(2008年製作のドラマ)
4.0
19世紀のロンドンが舞台、父親が債務者監獄に収監されていて、債務者監獄で生まれ育ったリトル・ドリットことエイミーの物語。
ディケンズの父親も債務者監獄に入れられていた時期があるということは知っていたけれど、こんな場所なんだというのが、まず目からうろこ。
監獄とはいえ、その敷地内限定では自由にすごせ、家の主が収監される場合は家族も一緒に入ることができる。←監獄なのに入ることができるという表現はなんかおかしいけれど、実際家族は中に住んでいても外に住んでいても出入り自由。
エイミーが主人公ではあるけれど、彼女を取り巻く群像劇。
産業革命後、中産階級がお金を持つようになり、それにより持つ者持たざる者の貧富の差も開き、また投機によりそのバランスも一日にしてひっくり返るこもある時代。
その時代の中、お金にどこまで固執するのか、自分はジェントルマンである、またはジェントルマンとしての生活を送る(女性の場合は社交界に出入りする)ことにどこまでこだわるのか そこに生じる虚栄やおごりに翻弄される人、そこに振り回されず自分の人生を生きる人 様々な心の動きが描かれる。
一番の見どころはお父さんドリット。自分はジェントルマンであるという矜持が支えになっている反面、マーシャルシー監獄においても、外の世界において彼自身を追い詰める大きな要因となっている。
アーサー・クレナムは、本当に森のくまさん的雰囲気を漂わせとってもいい人、彼はジェントルマンだなぁ。
そして、意外に良いやつなのがパンクス、見た目も家賃収集人という立場からもはじめは嫌なやつなのかと思ったけれど、フットワーク軽くおちゃめな面もあって最後はちょっとお気に入りだった。

このリトル・ドリットは社会派ドラマ的部分だけではなくリゴーやフリントウイッチといった悪役も出てきて謎解きやサスペンス的な要素もあり物語としてはいろいろな見方ができて、もともと原作は知らなかったのだが、面白く見れた。

ただ、最後のクレナム家の秘密にかかわる謎解きは、難しかった。っていうか、エイミーとクレナム家との関係がよく呑み込めなくて、ググってようやく理解して、その伏線が最初にあったのかと1話めの最初を見たけれど見つけられなくて。もう一度全部見直したら、どこかにそのことがわかる部分があったのかな??

最後に、エイミー役がクレア・フォイ。クラウンでの若いころのエリザベス役もすごく好きだったけれど、このエイミー役も清楚な雰囲気がぴったりでした。
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